金平糖はいかが?②
毎年のことながら、連休はあっという間に終わりました。すっかり通常運転の日々です。
薄茶と共にお出しすることもある金平糖。最近気軽に入手できるお店が減っていることもあり、身近なところから無くなってほしくはない、と気さくなお店で見かけたらちょこちょこ購入しています。京都には、この金平糖の「高級ブランド」とも呼べる緑寿庵清水というお店がありまして。定番から季節のものまで様々なお味の金平糖を扱っておられ、とても美味しく、京都や大阪では百貨店にも出店されていて入手しやすくなっています。「美味しんぼ」でも紹介されているとか。
お教室の一年目、長年お稽古をご一緒してきて、もう先生にはつかないけれどお茶は楽しみたいという90歳近いA先輩が顔を出してくださっていたので、茶箱の点前をしていただく際に、是非召し上がっていただこう!とこの緑寿庵清水さんの金平糖を準備していました。すると先輩も差し入れと言って、五色の金平糖をくださったので、ありがとうございます、では使わせていただきます、よかったら代わりにわたしの持ってきた金平糖、りんご味かぶどう味、お好きな方お持ち帰りください、とお伝えしたのです。
すると、「じゃぁ、りんごは苦手だからぶどう味をいただいて帰るわ~。」とのこと。
驚きました。A先輩とは長年、週一回の頻度で昼食をご一緒しており、コロナ禍の間もお互いの状況見ながら、アクリル板越しでも食事する関係で、食べもののお好みは把握していると思っていたのです。が、よく考えると昼食のみで、アップルパイなどと共にお茶をする、皮を剥いた生のりんごを一緒に摘まむなんてことは無かったんですね。食事の準備を整える家族以外の食べ物の好みを把握するのは難しいなと痛感しました。先輩から金平糖をいただかなかったら、わたしは自分が持ってきたりんご味の金平糖をお出ししていたかもしれません。そして、この緑寿庵清水さんの金平糖は、それぞれのお味がしっかりするいいものですが、見かけだけでは何の味かまではわからないため、口に入れてしまっていたかもしれないのです。
先輩が下さったのは、五色のよくある金平糖、色がついているだけのものでした。色ごとに味が違っていてもいいかと思うのですが、見た目で味までは把握できないまま口に入れないといけない金平糖は、一つの味だけに特化したものは万が一お客様のお好みでないものをお出しする可能性があることを考えると使いにくいな、と思いました。
わたし自身は、好き嫌いは少なく、アレルギーも無いです。が、以前知り合いが、きゅうりが嫌い、あの青くさい匂いが嫌なんだ、ということを言っており、わたしはきゅうりの匂いなんて気にしたこともなく、この言葉を聞いた後も言われてみれば匂いがするかなぁ、という程度だったのですが、嫌いな人にとってはその存在感が負の意味で大きいのだなぁと知った出来事ではありました。自分が何でも食べられるからこそ、お客様が苦手なものに出会うこともできるだけ避けたいと考えます。
ということで、この時、緑寿庵清水さんのりんご味の金平糖は持ち帰って酒のつまみとなり(美味しかったです!)、翌年からは8月には五色の金平糖を準備するようになりました。
金平糖から得た気付きです。が、緑寿庵清水さんの金平糖は、一粒でもそのお味がはっきりわかるくらい丁寧に作られているということでもあります。機会があればお気に入りの味を選んで、ぜひ召し上がってみてください。普通の金平糖もぜひぜひ。
以前に話していた八尾のこんぺいとうミュージアムは、体験が主で見学コースなどはありません。少し販売はなさっていて、八尾名産の若ごぼう味などもあります。と、見学のつもりで行ったらアテが外れてこういうことがわかりました。
今日の菓銘は「波」。
少し涼味も感じさせてくれますね。
金平糖で、一人こんなこと考えてます。
長々と失礼いたしました。
読んでくださり、ありがとうございました。
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