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新型コロナウイルス流行の茶道における功罪①

大阪の桜は盛りを過ぎ、若葉が出始めています。桜は花よりもこの鮮やかな若葉に生き生きとしたものを感じるので、ついつい上を見ながら歩いてしまいます。

さて、今回は大層なお題をつけてしまいました。物事にはいい面悪い面の両方が基本的にあると考えています。いい悪いを決めるのも個人的な主観に拠るところも多いかと思いますが、新型コロナウイルスが流行し始めて約3年、少しずつ書いてみます。10年近く経ってから見えてくるところもあると思うので、自分の物の見方の変化も少し楽しみだったりします。

まずはいいところから。茶道はそもそも人が体内に入れる飲食物を差し上げるものだという、ごくごく基本的なことを改めて認識できたことでしょうか。流行前は、お稽古前に手は洗うものの、今ほど丁寧ではありませんでしたし、お菓子を盛る際に素手の左手が少しお菓子に触れてしまうことがありました。けれど新型コロナウイルスが流行しだしてから、お稽古場でビニール手袋を置くようになったところも多いと思います。

茶筅や茶巾・茶碗は水だけで清めていたものを、熱湯をかけるようになりました。年月が経つうちに、新型コロナウイルスの治療法の確立や煩雑さと効率との兼ね合いで、元に戻っていくだろうと思っているのですが、口に触れるものを扱っていることの重大さ(ある意味危険さとも)を体感・体得できたことは大きな財産だと考えています。

最近は「安全・安心」という言葉がかなり軽く使われるようになってきたと危惧しているのですが、流行り始めた当初はそうでもなかったと思います。わたし自身は恥ずかしながら、「安全・安心」が大前提であることは新型コロナウイルス流行前は、明確には意識できていませんでした。茶壺の結びが簡単に解かれることがないよう、解かれてもすぐに判るよう、元々は人により結び方が異なっていたらしい、というようなことや蓋を紐で封印して釜への毒物の混入を防ごうとした責紐釜といった道具のことは見聞きしていましたが、そんなの遠い昔の話、現代のわたしたちには全く関係の無い話とどこか思っていましたが、ウイルスという毒物が現代でも流行ったことで、古人の工夫の切実さもより理解ができるようになった気がしています。転んでもただでは起きないお茶好きでありたいです。

今日の菓銘は「しだれ桜」。
そういえばわたしの好きな葉桜のお菓子は見たことがありませんね・・・。

今、#春の旬食材レシピ というお題での募集があるのですが、レシピを自分で考えるタイプではないので、春の旬食材を。

強肴か八寸か、ご飯に合うのでいっそ漬物と一緒に出すか・・・悩ましいです。

3月初めに作っていたいかなごの釘煮風、です。釘みたいにピンと炊き上げず、ちょっと鍋をかき回して少しそぼろっぽくしたものが好きなので「風」なのです。兵庫県明石近辺が本場のようですが、大阪に急いで運ばれたものを、毎年1キロだけ購入して作っています。

長くなり申し訳ありません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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