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修二会②

ここ数日で、鉢の木々草花の芽吹きが勢いづき、一回り大きくなっている気がします。

今年も東大寺二月堂で行われている修二会(しゅにえ)。
昨年紹介したお菓子の銘が「開山良弁椿」だったのですが、開山とはここでは東大寺を開創した人、創建に一番功績のあった僧侶とでもいいましょうか、その良弁(ろうべん)さんから名前をいただいている椿から取られていました(菓銘としては開山堂にある良弁椿、の意かもしれませんが)。

藤原氏出身の母を持つ初めての天皇となった聖武は神亀5(728)年、やっと恵まれたやはり藤原の娘から産まれた親王を、生まれて一年も経たないうちに亡くします。その菩提を弔うため、良弁を筆頭僧として金鐘山寺(きんしょうさんじ)を建立、天平13(741)年、国分寺・国分尼寺建立の詔により、この寺は昇格し大和国金光明寺となります。この頃良弁は、この寺に審祥(しんじょう)という僧を招いて華厳経六十巻の講経を行っており、これが後の聖武天皇による「東大寺」創建の重要な契機になったとも言われています。明確な時期は判らないのですが、この寺はやがて東大寺と呼ばれるようになり、良弁は天平勝宝4(751)年東大寺の前身から務め、大仏建立に至った功績により東大寺の初代別当(寺務を統括する長官)に任命されます。

大仏建立を発願した聖武天皇、大仏造立の実質的な責任者である大僧正行基(ぎょうき)、大仏開眼の導師菩提僊那(ぼだいせんな)、そして良弁の四人は東大寺の「四聖(ししょう)」と呼ばれるそうです。

良弁椿は東大寺開山堂で見られる糊こぼし、とも呼ばれる椿で実在します。伝香寺の散り椿、百毫寺の五色椿と併せて奈良の三名椿として知られます。

東大寺の大仏は華厳経の教主である盧舎那大仏で、華厳経の教えとは「世界に存在するあらゆるものは、それぞれに密接な相関関係の上で成り立っており、互いに融合し調和を保ち、秩序ある世界を形成している⇒ひとつは全ての中に、全てはひとつの中に観ることができる」というようなものだそうです。わかるようなわからないような?

今年は修二会そのものにまではあまり近づけませんでした・・・。

今日の菓銘は「閼伽水(あかのみず)」。
これも東大寺の修二会に想をいただいているお菓子です。

今日は鳥山明先生の早すぎる訃報に衝撃を受けていました、まさに世代ですので。のんびり老後を楽しく過ごされるのだろうと根拠無く思っていたのですが、人生の先は読めませんね。小中学生の頃、独特の作品世界に魅了され、また孫悟空の「ま、いっか」の言葉に救われた身としては、どうぞ安らかに、と祈るばかりです。

参考文献:「修二会 お水取りと花会式」法蔵館



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