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(※ネタバレ注意)星のカービィディスカバリー体験記 part2:水中ではなく水上

エバーブルグ海岸とその衝撃

今回は、第2ステージであるエバーブルグ海岸について話していく。このステージの特徴は何といっても海。ゲーム開始時にも見れた海がほぼ全面に張り巡らされたステージであった。このステージが始まった時、終わった時、私と同じように驚いたプレイヤーも多いのではないか。水中ステージがない、という事実に。星のカービィシリーズの順当派アクションにおいて水中ステージというのは印象的であった。(おそらく)カービィ2からずっと続いていた水中ステージの歴史が、一旦の終わりを告げたのだ。3Dアクションの今作が順当派と呼べるかはさておいて、特に水中ステージが多く、難しい故にその印象が強いWiiからカービィに入った私にとって、水中ステージがないというのは大きな驚きだった。この驚きをさらに大きく助長させているのが、「水上ステージ」であったことだろう。

https://twitter.com/Kirby_JP/status/1547778088456531979?s=20&t=iSUaL2OFOLOgYxS2w7UhBQ (星のカービィシリーズ公式Twitter様)より

水中ステージと比較した水上ステージのメリット

何故、水中ステージではなく水上ステージだったのか。それは水上ステージの方が利点があるからだ。ハル研究所が、妥協でこんなステージを作るとは思えない。そこで、私は水上ステージのメリットは、今作のコンセプトである3Dアクションと、カービィシリーズ自体のコンセプトに深く関与していると考えた。

3Dアクションと水中アクション

先ず取り上げたいのが、3Dアクションゲームにおける水中アクションの難しさである。これは、制作側の難しさとプレイヤー側の難しさの両方に関わる。制作側の難しさは言うまでもないだろうか。今作のカービィは、光表現等の描写にこだわっているため、水中にいるカービィを描き続けることは難しいだろう。また、水中での挙動は、普段のものとは全く異なり、言うなれば全く別の物理法則を作らなければならないのだろう。そして、プレイヤーが感じうる難しさだが、これは3Dアクションが苦手な方に向けたゲームである今作のコンセプトに加えて、次に語るカービィシリーズ通してのコンセプトにも関わってくる。

カービィシリーズのコンセプト 

カンタン操作

「星のカービィ」初代は、当時難度の高いゲームが多かった中、ゲーム初心者への入り口として、簡単にゲームを楽しんでもらうことをコンセプトとしていた。と、初代カービィディレクターの桜井政博氏は語る。その後、カービィシリーズのディレクターは彼ではなくなり、前パートでも私が語った通り上級者にも向けた要素も多く追加されたが、それでもカンタン操作という点はカービィシリーズに色濃く引き継がれているように思える。ここで、3Dアクションに挑戦した今作で水中ステージがあったなら、そのコンセプトの達成は大変困難になっていただろう。3Dアクションでの水中操作は、上下と前後への移動の区別が難しく、移動速度、カメラ操作の幅が広くなってしまい、スティックでの移動が思うようにいかない。マリオ64やマリオギャラクシーシリーズの水中ステージをプレイしたことがある方なら、その操作の上手くいかない感じがわかるのではないだろうか。この操作時の不快感は上記のカービィシリーズのコンセプトに反してしまう。

開発者であるハル研究所が考えるコンセプト

これは、今作全体を通して言えることだが、カービィならではの3Dアクションでの苦難がある。それが「カービィ丸すぎ問題」だ。カービィのデザインが球形であるため、3Dで見るとカービィが向いている向きがわからないのだ。また、水中ステージでは通常ステージに比べて下側からも敵が来るため、四方八方からカービィが敵に囲まれることになる。これは、カービィがかわいそうなのでコンセプトに反する。…え?と思った方もいるかもしれない。しかし、これは冗談でもなんでもなく、実際にハル研究所の方々は、カービィがかわいそうにならないように気を付けているのだ(参照:https://www.nintendo.co.jp/interview/arzga/index.html)。

海へのこだわり

上記のことから、ハル研究所は「水中ステージ」を避け、あえて世界観により没入できる「水上ステージ」という形を選んだのだろう。たとえ仕方なくこの形にしたのであっても、ここからは彼らの海ステージに対するこだわりが見えるのではないか。そうでなければ、水中ステージが出来ないからと、海ステージを切り捨ててもよかったからだ。そうしなかったからには、少なくともカービィ2から続く水中ステージから、今作へ水上ステージへ乗り換える形になった海のステージへの強いこだわりがあるに違いない。では、海ステージにこだわる理由とは何だろうか。機会があればそのことについても深く考えてみたいが、今回はこのあたりで一旦筆を置かせていただく。

前回(https://note.com/range469_531138/n/nd014d831a4a9)

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