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転校生は、金魚に火を通さない。

○あらすじ  人外の要素を持つ人間『あやかし』が存在するようになって二十年、田舎の大きな商家の次男として生まれた吉谷直也は、不幸が降りかかる貧乏神(?)のあやかしだった。 人との関わりを避け『要らない子』として生きていこうと考える直也の前に、一人の転校生が現れる。 夏祭りの夜、その転校生・小春が金魚を丸呑みしているところを目撃してしまった直也は、なぜか小春と付き合うことに?  更に、あやかしのネットワークで何故か直也のプロフィールが大公開、狙いすましたかのように、更に四人の転

    • 転校生は、金魚に火を通さない。~3話~

      「昨日のあやかしネット……見た?」 「……あぁ、見た」  幸いなことに付き合った噂はまだ校外にはさほど広がっていないようで、俺と小春はなんとか無事に公園に到着、放課後の会議が開かれた。 「その……念のため言っとくけど、私じゃないからね」 「分ぁってるよ、小春にライバルを増やすメリットがない」  小春が申し訳無さそうな視線を向ける。俺は気にしてないよと軽く答えたが、内心はかなり焦っていた。  引っ越し……するのもなぁ、小春と今離れて新天地に行くのはちょっと怖い。 「とりあえず

      • 転校生は、金魚に火を通さない。~2話~

        「小春~~~~~~!!!!!」  その日の放課後、クラスメイトから当然のように囲まれ、質問攻めに合う俺を残し、そそくさと帰ろうとしている小春を捕まえた。 「「「きゃああああ!」」」 「やかましい!」  クラスの女子にかまっている暇はない。今はとにかく小春を説得するのが先だ、本人がこの調子だと、俺がいくら否定したところで意味はない。  なんとか二人にならないと……けど、どうやってこのまとわりついてくるクラスメイトを撒けばいい?  数秒で考えついた案は最悪だったが、他に代替案もな

        • 転校生は、金魚に火を通さない。~1話~

          「続きまして、本日最後を飾ります。七合玉の大花火『ラッキーバレー』、吉谷商店様からの提供となっております。この街と、吉谷商店の一層の繁盛を願って――」  時刻は夜の九時を少し回ったくらいだろうか? 花火大会も締めの雰囲気になり、帰り支度を始めた人々は、反響するアナウンスに視線を空へと向けた。  生ぬるい風の吹く河川敷は、ソースやら飴やら、屋台の食べ物の匂いと、花火の火薬の匂いで満ちている。  わずかに強調された『吉谷商店』という単語に、その家門の一人である俺は苦笑いを浮かべ

        転校生は、金魚に火を通さない。

          ファンタジー世界における「魔力」とは?

          なろう作品に限らず、ありとあらゆる媒体の、ありとあらゆる作品で、作者の頭を悩ませたもの、それが魔力だ。 かくいう私もファンタジー作家の1人、どう向き合い、同世界に落とし込むのか頭をひねってきたのである。 まず、魔力とはリソースだ。魔法やスキルを使う時に消費する。TCGにおけるマナのようなものであり、RPGにおけるMPである。 しかし、実に単純に考えることが出来るはずのただのリソースに、何故こんなにも作品ごとに扱いの差が出るのか? 答えはひとつ。 現実には魔法もスキルも剣技

          ファンタジー世界における「魔力」とは?