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Photo by
masuno_shota
『二択』
俺はいつも二択をハズすタイプの人間だ。
あの二択をハズしたことを今になって後悔している。
例えば、○×クイズは当たり前のようにハズすし、
スーパーでは自分が並んだ列じゃない方の列がスムーズに進んだり。
「この服とこの服、どっちがいい?」って彼女に聞かれ、
「こっちかな。」「いや私はこっちだわ。」的な流れはもう慣れた。
ある昼休み、普段買いだめしているカップ麺で昼食を済ます私が、
たまには気分を変えてみようと外食しに外へ出た。
さぁ、いざ外に出たが何処になんの店があるかすら知らない。
携帯で調べると、周辺のラーメン屋さんが5件ヒットした。
これはハズしてもしゃーない、だって五択だもの。
店構えと自分の勘を信じて一件のラーメン屋に飛び込んだ。
透き通った琥珀色のスープ、芳醇な醤油の薫り。
麺を啜ると広大な海が目の前に広がる…美味すぎる。
大将の無骨な風貌からは想像もできないくらい繊細な味。
これはさすがに大当たり、心の中でガッツポーズする。
満足げな表情で綺麗な丼をカウンター上に上げる。
ごちそうさまでした、と発して席を立った瞬間に冷や汗が吹き出る。
ようやくここで財布をオフィスに忘れたことに気が付いたのだ。
そもそも外食するか社内で済ますかの二択をハズしていたのだ。
さてこれは最近の話、私はあの会社をリストラされた。
早い話が二強の一角だった競合社が急激に伸び、業績が悪化したから。
内定をもらっていたあちらの会社を選んでおけば、と後悔している。
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