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【備忘録】『市場の倫理 統治の倫理』

本書の主張

❶人間がその必要とするものを入手するには、縄張りから取得するか、またはお互いに取引する。取引は人間だけが行う行為。

❷「取得」と「取引」という人間生活の二つの様式に対応して、人間の社会的道徳にも「統治の倫理」と「市場の倫理」の二つがある。両者はしばしば相互に矛盾し対立する。

❸二つの倫理を混同すると、「救いがたい腐敗」が生じる。混ぜるな危険。

❹腐敗を避けるには、課題に応じて統治の倫理、市場の倫理のいずれかを自覚的に選択することが必須となる。

市場の倫理15カ条

暴力を締め出せ
自発的に合意せよ
正直たれ
他人や外国人とも気やすく協力せよ
競争せよ
契約尊重
創意工夫の発揮
新奇・発明を取り入れよ
効率を高めよ
快適と便利さの向上
目的のために異説を唱えよ
生産的目的に投資せよ
勤勉なれ
節倹たれ
楽観せよ

統治の倫理15カ条

取引を避けよ
勇敢であれ
規律遵守
伝統堅持
位階尊重
忠実たれ
復讐せよ
目的のためには欺け
余暇を豊かに使え
見栄を張れ
気前よく施せ
排他的であれ
剛毅たれ
運命甘受
名誉を尊べ

正義とは

正義とは、自らの仕事を果たし、他人のそれに口出ししないことだ
byプラトン

商業と統治について、その道徳と機能の統一性を保持する必要があるということ。

社会の仕事をめぐる倫理が錯乱すれば
おしゃべり知識人が道徳秩序を論じ始める

文明とは

政府は必要だ。ただ、政府は自力では自らを文明化する力はないと思うのだ。
だから、政府以外に文明化を推進する機関が必要だ。商業生活における暴力、詐欺、恥ずべき貪欲と戦い、一方で同時に私的計画、私有財産、人権の尊重を統治者に承認させる統治・商業の共生こそそれだ。道徳的には相反する取引と占取が相互に支え合うこと、そのことが両者の活動とその派生的な行動をコントロールする。そこで、文明についての有用な定義が得られる。すなわち、統治と商業との共生をなんとか達成できれば、それが文明というものだ。



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