2023年の勝手にテクノロジー予想①

<動的インタラクションと静的コンテンツとのバランス見直し>


SNS投稿は投稿された瞬間に流れていき、インタラクションのリアルタイム性が無いです。本やブログなどコンテンツも同様で、書いて文字やイラストなどで世に放たれた瞬間に古い情報として消費されていきます。


では動的インタラクションの例としてはどんなものがあるでしょうか?

例えば以前流行ったものとしてはClubhouseがあり、このLinkedInプラットフォームにおいてはLinkedin LiveというClubhouseに似たような機能があります。

クリエイターへの投げ銭やライブ機能を整備しているTwitterも、投稿で一瞬で流れていくだけでなく、ライブを通した交流を可能にしています。

YoutubeもSuper Chatという機能でライブでの投げ銭や質問、コメントができる機能があります。ひろゆきさんなどやよく開催されていますね。

あと日本で古くからあるものとしては、最近のTwitterでのコメントのライブ募集含め、「ラジオ」というメディアがあります。先日、成田悠輔さんのオールナイトニッポンを聞いて一人でニヤニヤしていました。

成田悠輔さんがそのオールナイトニッポンのラジオの中でも語られていましたが、事前準備とスピーチ、推敲に推敲を重ねた渾身のブログといったものよりも、人間としては即興性に身を任せてその場でどうにかする、そして思い通りに行くのも思い通りに行かないものそのまま受け入れていく、というラジオパーソナリティとリスナーの双方の体験こそがラジオ(特に深夜ラジオ)の価値なのでは、と考えられます。


NetflixやHuluなどが普及し、オンデマンドでいつでも動画コンテンツを見たいときに見れるようになりました。ただ一方、先日のサッカーワールドカップのように、リアルタイムでこそ興奮が最高峰になって「にわかファン」も「コアなファン」も一斉に一喜一憂するような体験は色あせません。いやむしろ、オンデマンドで自分の都合に合わせられるからこそ、「ライブコンテンツ時間限定性」と勝手に私が名付けているものの価値がむしろ上がってきていると思われます。


例えば私も、Google Earthで世界中をお散歩はできてしまいますし(UXはまだまだクソですが)、12/31~1/1の両日でほぼずっと山にいましたが、山を登るのって、要は身体性への回帰だと感じています。


また最近はリモートワークというものがコロナ移行一気にいろいろなグラデーションのなかで進みました。Slackなどの非同期通信をめちゃくちゃスムーズにするツールを活用し、ある意味でいつでも人が反応できる状態も生み出していますが、それはあくまで非同期通信としての体験を、情報通信技術によって時間を限りなく短くして反復可能にしているだけです。


私が静的コンテンツとしてここ数年で最も特徴的だなと思うのはInstagramです。

そのなかでも特に、「メルカリでブランドバッグとか服とかを買って一瞬着用し、自撮りをしてInstagramにアップし、次の瞬間にはメルカリでそのバッグや服を売っている」という作業をする投稿者の行動は興味深いなと思います。

インプレッションはつくけど絶対に流れていき、あとから特に振り返られることもなく、要は一時的で終わることがわかっていることを、投稿という静的コンテンツとして世に放ち、それを繰り返す、という行動をしているわけです。

この「刹那」×「静的コンテンツ」×「承認欲求」という体験を、Instagramは助長しているように思います。もちろん、文字ばっかり使って偉そうにしていた旧来型エリートと違い、図やイラストといった「絵」によってコミュニケーションをする、という人間の知能の使い方を助けている面もあります。

脇道にそれますが、140文字でマウント合戦をするテキスト型の旧来型エリートが多くいるプラットフォームはTwitterです。英語の投稿も日本語の投稿も私は見ますが、日本は特にマウント合戦をしている傾向が強いですよね。


本題に戻りますが、静的コンテンツとしてこれまで高尚に扱われてきた、アカデミア中心に生成されやり取りされる「論文」というものも、作った瞬間から陳腐化していく静的コンテンツの例です。

論文、という最先端の研究を数字やグラフ、テキストに落とし込んだものが、技術的な内容であればその論文を出した瞬間に陳腐化するのであれば、論文はもはや原理的に最先端にはなり得ないことになります。

このときの最先端は、常に、動的インタラクションのなかにこそ存在し、それを捉えるのも言語化するのももはやAIに任せることが賢い選択・手法になっていくでしょう。いやもうすでになっているかもしれません。

動的インタラクションとしては、

  • 人と人が手を触れ合う

  • 介護

  • 自然の中に身を置く

  • ライブで交流する

といった事象が我々の身近なものとしてはあり、それこそが最先端であり、動的インタラクションを通した人間性の回復につながると考えます。

最終的には、本投稿のテーマの通り、動的インタラクションと静的コンテンツのバランスの見直しがなされると思いますが、人によって無限のグラデーションがあるなかで、自分はどうか?というのは観察してみると面白いかもしれません。


まとめると、今回のテクノロジーテーマについては下記の2点を予想します。

  • オンデマンド時間無限性の価値低下、ライブコンテンツ時間限定性の価値上昇

  • 最先端は動的インタラクションの中にあり、その人間性の最先端を捉えるためにツールとしてAIが使用されていく


2023年の私の勝手なテクノロジー予想の第1弾は以上になります。

ご覧いただきありがとうございます。


P.S.

ちなみに私のライフワークは「人と循環を科学し、人間性を支える社会システムをつくること」なので、どうやって人間性を支えるのか、人間性とは具体的に何か、人間性は動学的に且つ歴史的にどのように変化/不変なのか、といった観点は常に持つようにしています。

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