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48【”うむ”人であることを許す日】


7月1日 ついにその日(手術日)がやってきた

ムウとガブちゃんのお別れの日

ムウの中で産まれて
ムウの中で長い時間をかけて育って

その命をかけて
ムウに”ここにいるよ”と伝えて

こうなることも
わかったうえで

ムウに”変われ”と
伝えてくれた


ムウに本来のムウに”戻れ”と



一体、これまでの人生で
なにが正解でなにが間違いで

これからも人生が続くならば
なにをどうしていけばいいのか
さっぱりわからないけれど

ムウはガブちゃんに
背中を押され

大きく大きく背中を押され
その道をいくしかない

この道をいくしかない

自分をずっと偽ってきた


ずっとずっとかっこつけて
ムウがムウにならないように

周りに受け入れらる”なにか”に
どこにもない”だれか”になろうとしてた

ムウがムウを
受け入れられないばっかりに
だあれもムウを
受け入れてなんかくれない
ありもしない証拠ばっかり積み上げて

ムウがムウを全部生きたら
みんなムウから逃げてく

怖くて怖くてどうしようもなくて
あたりさわりのないところ
誰もがなにも言わないところで
収まることの言い訳にしてた


本当は
本当に怖かったのは

ムウがムウになること
ムウがムウを生き切ること

それで

それをやって
ムウになんの価値もなかったら?

全力で生きて
誰にも見向きもされなかったら

そこでムウは終わってしまう

吹けば飛ぶ様なムウは終わってしまう


ただ、それが怖くて
本気を出してる様に見せながら
どこかで逃げ道を探し続けてた

怖いよ
怖いよ
いまだって全然怖いよ

ぬくぬくしたこの中に
死ぬまでいてもよかったけれど

ムウのガブリエッラは教えてくれた

あんたはそんなもんじゃないでしょ


あんたはそこでおわっちゃダメでしょ
あんたの命をつかって
なにをするかってことなんかじゃなくて

その命、そのもので
あんたは伝えることがあるでしょ


あんたは”うむ”

あんたは”うむ”人



その存在そのもので”うむ”

いままでずっと
あるのに気づいていたのに
必死で抑えてたエナジーを

ムウはいま、解放する

解放すると言っても
なにがはじまるかわからないし
なんにもはじまらないかもしれないけれど

いつかいつかと
それを出し惜しみするよりも
ムウはそれを、いま、解放する

解放していることを認める

いままでだって
ほんとはずっと解放していたのかもしれない
まだまだ
もっともっとと
ムウを見縊っていたのかもしれないけれど


ガブちゃんになったから
あわてて、表面的な生き方を
わかりやすくイジくって
中途半端に変えるとかそんなことじゃなく

世界がムウに見せる
すべての必然を
ぜんぶぜんぶ受け取って
ムウは”うむ”



有無を言わせずムウは”産む”

熟む、膿む、生む

ムウは うむ


うむこと
うんできたこと
うんでゆくことを
ムウに許す



なんにもなかったらどうしようと
おもえばおもうほど
なんにもできないあたしでいたけれど

もともと
本来無一物

なんにもなくてぜんぶあるんよね

それをやらないと
私はいつでもまたすぐに
あんたのもとへ帰ってくるよと

ガブリエッラはムウに伝える

ムウの大切なガブリエッラ

命がけの愛 ガブリエッラ

ありがとうなんて陳腐な言葉で
おさまりなんかしないその愛を

ムウは受け取れるのかしら

ううん 受け取ってみせるから


ごめんね いままで
ムウがムウを生きられなくて

ごめんね いままで
ムウがあなたを。。。。。


この日の朝、
ムウに会えるわけじゃないけれど
ムウのそばにいたいからと
近くのホテルに泊まった母と妻が

ムウのいる病院の下
豆粒みたいにちいさいその場所から

力一杯 手を振ってくれた


あちらからはみえないけれど

15階のビルの上にいるムウに

力一杯 なんどもなんども
手を振ってくれた

ムウを産んでくれたその人と
ムウと一緒に生きてくれたその人が

二人、一緒に なんども

行ってくる


あなたたちの元から
ムウは今日をもって巣立つ

ぬくぬくとしたそのホームから
ムウは今日をもって巣立つ

ずっとずっといいたかったけど
いったら終わりそうでいえなかった
この言葉をムウはあなたたちにいう


いままで本当に ありがとう

いままでほんとに 
こんなムウに おつかれさまでした





教訓
:ガブちゃんは天使
:ムウに生まれ変われと伝える天使
:そのメッセージを受け取るのは怖いけど
:受け取った先にあるLIFEを信じよう
:アタシはアタシを信じよう


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これを書いているのは8月27日の新月
5月の新月からここまで48編にわたって
ガブちゃんとムウのことを書いてきた

この日、ガブちゃんの元は離れて
ムウがムウとして産まれなおし
ムウ自身の中で十月十日すごして
新しく生まれるまでの道がはじまる

ガブちゃんと愉快な仲間たちにだけ
公開してきたこの文章もおそらく
形をかえながらどこかに表現されるだろう

ムウは本当にビビリ
怖くて怖くてしかたなくて
だけどもうそちらに向かうよ

あとどれぐらいムウに時間があるか
わからないけどムウはムウを生きたい

8月25日に虎の門に行き
手術のときに取ったガブちゃんの
検体の結果とこれからの方針を話した

手術で7月1日の時点でムウの中にいた
検査に移るガブちゃんはすべて外に出したこと

やっぱりステージは3だったこと

思ったよりもリンパ節転移が多かったので
喉元まで食道とリンパ節を取ってよかったこと

いまはないにしてもこれからの再発の予防や
もしかして写真にはうつらないけれど
まだいるかもしれないその細胞を
根絶やしにするために9月の終わりから
抗がん剤治療を一年かけてやること

これをもって、全身の毛はなくなる
まだこれから1年間、本調子には乗れないこと

すでに4ヶ月、ここからあと一年

ずっと、だまっているわけにもいかないから
ムウは来月、このことをたぶん公表するだろう


病院から帰った夜に
娘たちには事実を伝えた

春からガブちゃんと向き合っていたことと

ムウが40年以上ジェンダーのことで
悩んできたこと

ムウよりも進化している彼女たちは
もちろんそれを受け入れてくれた

さぁ、はじまる
ムウの真価が試される

こわいけどやる
また行きつ戻りつするかもしれないけど
ムウはムウを”うむ”

今日をもって”うむ”人になる

ムウの中で熟成されたものを”うむ”人に

これからもどうかお願い

変わるか変わらないかわからない
大いにビビってるムウがここにいて
もがいてあがいて生きていく姿を

どうかそっと見ていてね

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今日の新月がみんなにとっても
素敵なはじまりでありますように

愛を込めて


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そしてこれをnoteに公開する今日が
3月14日 ホワイトデー

ここ数日、本当にダメダメで
自分自身を殺してしまいたくなるほどグズグズで
身体が思うように動かないと言いつつ
本当のところ自分に向き合うのが怖いだけなのかもしれない

だけどいつまでもグズグズしてはいられない
しんどくても辛くても前に進むことにする

行ったり来たりを繰り返しながら
少しずつ前に進むことにする

そんな簡単に捨てきれないしょーもない情けない自分を
抱えつつ、少しずつ前に。。。。


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