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15【大病院のベルトコンベアに乗って】

大いなる不安とともに
うなだれて待合室に出た

やっぱり

ではあるものの

今日は、なにもわからなかったし
なにも かわらなかった

そして
なにかできることの一つでも
見つかるかとおもったけれど


なんにもなかった



この宙ぶらりんの状態が
30日まで4週間もつづくことの
耐えきれなさと焦燥感が
霧雨にじっとり体が湿るように
じわじわと広がってくる

部屋をでるちょっと前に

ほんとにそんなに時間かかって
大丈夫なんですか?
 

ときき

ガブちゃんはそんなにすぐに成長するわけじゃなく
何年も、へたしたら何十年もかけて
いまの姿になっているので
いま、この段階で慌てても仕方ないし
1ヶ月でどうにかなって手遅れですと
いうようなことはあまりない

とは聞いた

だけど、だとしても、だけど、、
と悶々としていると

滝川さーん と

看護師さんに呼ばれ
奥の方の部屋に通される

表面的なムードは和やかだった

一通り、検査の説明をされるが
気はそぞろで何も耳に残らない


何十年もかぁ
そんな前からうちはガブちゃんと一緒にいたのに
まったく気づいてやれず

超健康優良児ですけどなにか?

って顔してたのかぁ

ダサい、まじでダサい、

ダサすぎる、、、。



とかなんとか考えながら

ひたすらいろんな同意書にサインをする
 
怖いことがいっぱい書いてあるが
こんな状況でいちいち読んではいられない

ちなみに
ムウは医療関係の方に
ものをいいたいわけではない

どちらかというと信頼をもって
ここまでいろんな研究をされて
一人でも多くの患者を救おうと
誰もがしてることに対する
リスペクトは大いにある

だけど
不安なのよ
とにかく

自分がいったいなにをされて
どうなっていくのかが
全くわからない間に
ことが進み、ことが終わり
その結果を、あなたの選択だよ
と言われて生きていくことが

ある程度の話が終わって
ムウは思い切って聞いてみた

あのぉすいません
主治医の先生って
どうやって決まるんでしょうか?


この先生がいいので
この先生にお願いします!
ということはできますか?



???
どうかしましたか?


と逆に不安そうに聞き返される

いやぁ
ちょっと、
なんとなくですが
この命を預けるわけですよね。。


だとすると
信頼関係というか
安心できる先生にやっぱり
お任せしたいと思うわけです

さっきの先生は
なんというか
ムウのことをみてるというよりは
ただ、次から次にやってくる
患者をベルトコンベアに
載せる段取りをするだけのように
おもえてだいぶ不安なんです



なるほど。。。。。

あと相性みたいなのも
あると思うんです。。。。



なかなかですね、、、
(お気持ちは察します的なニュアンスをこめつつ)
患者さんが先生を選ぶというのは
大学病院では難しいとは思います。。

そうなんですね、、
たまたま並んだ順番で
決まってしまうんですね。。。

ーほんとにそうなのかな。。。。?
もし、コネやつながりがあれば
おそらく、その人が担当になるだろうに

すこしずつ広がる不安と不信
そして未知の世界で無知のまま
命をあずけるなんて

で!き!る!かーーーーーー


というなんだかわからない
エネルギーが湧いてきた

いままでの人生で
なんど、できない、無理です
ありえない、あきらめてください

と言われても
微かな可能性の穴を
無理やりこじ開けて
”できたやんけー ふふふ”
に変えてきたとおもっとんねん

くーーーーーー


ただですね、、
今日の先生は
初診の外来を担当する先生なので
あの先生が最後までみるわけでないですし
確定診断はすべての患者さんに
うちの教授が説明することになってますので。。



ちょっとだけホッとする。。
(同時にさっきの先生に失礼な気もする)


なるほど、、、
そこで大ボスが登場するわけか。。。


あ、そうなんですね、、、

ってでも
それで安心できるかーーーい

教授がどんな人かもしらんのに
教授ってだけで信頼できるかーい

特にこんな大学病院の教授が
患者のことを思って丁寧に診察をしていて
教授になれるとも思わんもんねーー
(それぐらいムウは世間に擦れてますよ、はい)

あと、もちろん
どうしても合わないとか
そういうことがあれば
相談には乗れますので
看護師でも相談センターでも
いいので、言ってくださいね

ただ、チェンジができるわけでは
ないんですよね、、、

まぁそうですね。。。

あえてやるとすれば
その先生のいない曜日にくる日を
変えるとかですかね

あーなるほど、、


と口ではいってみたものの

そんなわけあるかーい

それをやったとしても
また、たまたま
どの先生にあたるかわからん
当て物みたいなもんやんかーい


不安になられるお気持ちはわかりますが
どうぞお大事になさってください。。


でたー
気持ちだけわかられて
どうにもなんにもできひんやーつ

このあと、
研究への協力参加のために
採血のときに少しだけ血を多く抜くことに
同意する、書類を出され、
またそのままサインしかけるが
血が多く抜かれるということを知って

すいませんが参加はしないことにします

と、やっとここで、
ひとつ自分で選択できたのであった

いやぁ
これってね
ある程度、しっかり、いままでから
思ったことは言ってきたムウでさえこうですよ

普通に、なんにも考えず
大きな病院を紹介されてきたら
きっと、このよくわからない流れに飲まれて
ただただ、自分の気持ちは横において
先生さま、病院さまの判断にお任せしますに
なっちゃいますよ

で、なにかあったら
きちんと説明してサインももらってますので
ご愁傷さまです、、残念です。。

みたいな話ですよ

いやぁ
こわい、こわすぎる

こわすぎるーーーーー



ちょっと、ちゃんと
人任せにしてその人のせいにするんじゃなくて
自分で考えて納得して結果に責任ももてるように
しないとあかんわこれ!

となんだか逆にここで

ムウ、

ちゃんと自分の頭と心で
ガブちゃんと向き合いますプロジェクト

が立ち上がったのでした。

教訓:人任せにしすぎるのはやめよう
  :自分の頭でちゃんと考えよう
  :無理といわれてからが始まり

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