滋賀県新球団の話と「セミプロ野球」を提唱したい話
滋賀県に再びインディーズ球団が設立されるという話が出ている。
別のプロ野球独立リーグのチームというのは「滋賀GOブラックス」の事だが、そのスタッフが、チームの活動再開を待たずに別チームを立ち上げるという事は、滋賀GOブラックスは事実上消滅と考えるべきなのだろうか。
滋賀GOブラックスというと、別にファンではなかったが、ファンの方による動画チャンネルは結構気に入っていて良く観ていた。インディーズ球団ファンによるチャンネルの中では一番面白かった。
彼らにとっては至極寂しい話とは思うが、新球団がスタートしたら同様に応援活動は続けるのだろうか。それともそんな気持ちにはなれないだろうか。気になるので動画を通じて意思表示でもしてくれればと思う。
滋賀に新球団となると「岐阜を巻き込んで"BCリーグ西地区"再編を」などとアウトライン的な話がすぐに思いつくが、この件ではそれよりも「プレーをしながら別の仕事への従事も求める「デュアルキャリア」を掲げる」の部分が引っ掛かった。
NPBに選手を送り込むとか、地域の地元意識的なものを喚起するといった目的では、インディーズ野球界は一定の成果を挙げていると言えるが、選手のライフスタイルとかプレースタイルを確立しているとは言えないように思う(抽象的な言い方で恐縮)。
「デュアルキャリア」などと小洒落た名前が付くと何か画期的な事をはじめそうな感じがするが、「ウチじゃ満足な年俸払えないから自分で副業で補ってね」という話では何にもならない。少なくともシーズン中は野球に専念できるだけの年俸を払えなければプロの球団とは言えない。オフに仕事を斡旋する事を指して「デュアルキャリア」と言ってるのかもしれないが、キャリア形成になる仕事を斡旋できないとあまり意味がない(個人的にはコンビニの店員が務まる人ならある程度どこでも通用すると思っているが)。
独立リーグに新しい価値を見出すとしたら、野球選手に野球をしながら仕事をするライフスタイルを提案するのも良いが、その逆である「正業の傍ら野球をする」人たちの受け皿になる事もひとつの道ではないだろうか。つまり「セミプロ契約」という契約形態を提案したいのだ。
正業の傍ら野球をしている人たちと言うと、具体的には、現状は社会人のクラブチームの選手たちの事である。こういう人たちと副業なりの金額で契約すれば、彼らにとっては良い副収入になるだろうし、球団も年俸の抑制になる。「セミプロ契約」の選手には年齢制限はなく、平日の夜の練習(できれば)や休日の試合や練習に参加する。彼らもJABAというアマチュアの最高峰で野球をやっている「腕に覚えのある野球人」なのだから、新しいモチベーションになる筈である。
もっともそういう選手が例えばBCリーグで通用するのか、という問題はあるし、彼らの各職場側のルールという問題もあるが、少なくとも前者に関しては、インディーズ球団が主に社会人のクラブチームから選手を補強している現状を考えれば全然無茶な話ではない。
顛末が予測できない「デュアルキャリア」よりもよほど現実的ではないだろうか。独立リーグというものが、正業の傍らプレーする選手達の新しい選択肢になる事で更に存在感を増すようになったら面白い。「夢をあきらめる場所」と開き直るのではなく。