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野球ものの名文・名セリフ(10)

 クソ、俺だって分からない。俺は全てをコントロールしたかった。選手の動きも、一つ一つのプレーも、最終的には試合の流れさえも。しかしこの試合はいつもと違う。何百試合も指揮を執ってきた俺にとっても、こんな流れは初めてだ。試合そのものが生命を持ち、勝手に動き始めている。俺がちょっとばかり先を読んで選手を動かしても、出てくる結末は常に予想を超えたものだ。
 だったら勝手にやらせよう。結果は後で考えればいい。責任は俺が取ってやる。

『大延長』堂場瞬一

 冷徹、非情、独裁。西東京代表・恒正の白井監督が、人知の及ばぬ大勝負の中で変貌しながら、その独白。

 たぶん俺は、野球そのものよりは小さいんだ。

『大延長』堂場瞬一

 同じく傲慢、唯我独尊の四番打者が、その試合の中で独白。

 監督が選手と仲よく、自由な気風の新潟・海浜と、強いけど監督が独裁で雰囲気の悪い西東京・恒正。両者による夏の甲子園決勝。チームカラーを比べると海浜を応援したくなるが...。
 近年も、軟式で行われた決勝での「大延長」を題材に、ゲームの面白さに様々な人間関係も織り込んでいる。


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