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全日本女子軟式野球選手権大会 開催迫る

 8月10日(土)より「第35回全日本女子軟式野球選手権大会」が江戸川区球場をメインに開催される。

 もう何年も観ていないので今の様子はわからないが、スコアボードに選手名が表示されるようになったり、アナウンスが付くようになったのだろうか。もう35回なのだからそのくらいあって良いような気はするが。

 参加するのは学校でも企業でもない、たぶん法人格のない普通の「チーム」だ(企業チームみたいなのがひとつあるらしい)。それで全国の代表が集まっているらしいから結構凄い。軟式女子の競技人口は多いのかもしれない。

 競技レベルがどれほど上がっているかは知らないが、昔観た試合の印象など…。

 全国の代表が集まる大会だから、どんな野球になるのか、「野球ならなんでも好き」という人なら興味を惹かれるところ。
 が、一言で言うと「凡打でもアウトになる確率の方が低い」というレベルである。
 それでも投手のレベルは割と高い。何せちゃんと速球をストライクゾーンに投げる事ができる。両投手が完投したが、常にストライク先行で、コントロールに苦しんだという事が一度もない。一方のサイドスローの投手は、「フォームが出来ている」。これは凄い。
 その投手から打者はしっかり打ち返す事ができる。外野の極端な前進守備から、めったに遠くへ打球が飛ばないのはわかるが、それは仕方ないとして、下手な草野球人では打てなさそうな速球を大概の打者がしっかり捉えられる。
 投手と打者を見ていると、見物に来ている近所のおっちゃんを唸らせるには十分なのだが、守備を見るとまるで「お嬢様野球」なのだ。あ、実際そうか。
 普通のフライは落とすし、ゴロは捌けない。左方向にゴロが行くともうだめ。捕れたとしても、アウトにはならない(サードゴロが一度だけアウトになった気がする)。至近距離からの下手投げのトスが大暴投になる。野球というより何かの心理実験でも見ている気になる。

 そんなチームが「全国」から集まる。それで実力が互角のチームが当たったらと思うと、考えただけで楽しい。

 いつも思うのだが、女子野球はどうしてそうなのか。「投打」と「守備」の落差が大きいのである。守備となるととたんに「女の子」なのだ。
 たぶん、野球のもっとも本能に直結したアクションが「投げる」と「打つ」であり、それこそが楽しさの源であるが故に、そちらにばかり練習のウェイトが置かれているような気がする。で、楽しくやる事がもっとも重んじられていると。

 元クラブで演奏していたミュージシャンという人に聞いた話だが、ジャズの世界ではドラムが「父」で、ピアノが「母」で、ベースが「長男」なのだそうだ。
 ジャズの成り立ちそのものを言い表した至言だと思うが、これを野球に当てはめると、父が「投」として、母は「打」ではなく「捕」だと思う。

 捕球とか連携とかにウェイトを置くようになると、何人かは野球が嫌いになってしまうかもしれない。でも、ライナーや速いゴロを捌き、普通にアウトにできるようになったら、雰囲気そのものはガラリと変わる。「全国大会」の看板にも重みが出る。

 守備の名手と言われる選手は皆「華麗」と形容される。そして女性は男性よりも原則華麗な存在である。女子野球に魅力があるとしたら、それは女性のソレとイコールになる筈だ。ショートの深いところからアウトにするのは無理かもしれない。しかし「連携」を用いれば可能だ。男子の野球では見られないようなプレースタイルが生まれた時、「女子野球」は確立される気がする。

 それはともかく、どんなレベルでも、いやこのレベルだからこそ競った試合は面白いのと、たぶん入場無料なのでお暇な方はどうぞ。


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