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イタリア・南チロルを歩く 第6回目 Margreid an der Weinstraße/Magré Sulla Strada del Vino

どうもご無沙汰しておりました。いやどうも真面目な文章を書くと私の中の「真面目」のツボの中身がすぐに空っぽになってしまってね・・・補填するにも総体量が決まっている訳だから、かと言ってアメブロの方みたいに自由をかましたらnoteの意味なくね?と葛藤していました。

嘘です。

さて第6回目、一体どこまでマイナーな村ばかり紹介し続けるんだよ!という話ですが、地元の人は大喜びですよ?(多分)それにしてもね、とにかくこの南チロル南部の村の名前は全体的に長い!しかも2ヶ国語表記だから余計に長い!村の名前一つ覚えるのも必ず2つ覚えることになるので南チロルは覚える量が多い。イタリア語、ドイツ語、各々の方言やらイタリア語とドイツ語のミックスで生まれた融合語など・・・完全に脳みそを破壊しにかかっているのだ。この高き厚き言葉の壁よ!と嘆きながら日々過ごしている私である。

今回は隣州トレンティーノ州に近い村、Margreid an der Straße(独)Magré Sulla Strada del Vino(伊)を歩いてみた。西側に断崖が迫り、南に少し車を走らせるとそこはもうトレンティーノ州。州境に接するこの村は人口約1300人、標高は240mにある小さな村だ。住民の85%がドイツ語、15%がイタリア語を話すので、ここの村も他のEtsch/Adige川の西側の村と同じくドイツ語文化圏と言ってもいいだろう。


町の中心は実にコンパクト


人口のおよそ3割がリンゴ農家かワイン農家である典型的な南チロル南部の集落。村の自慢のワインは白ワインのMüller-Thurgau、ドイツで有名な白ワインの一つである。おすすめワイン一つ取っても「ここはイタリアなのか?」と思わせてしまう。農業が南チロルにとって重要な産業なので各村がこぞってワインやリンゴの商品を全面に出してくるので、どうしても小規模な村は大きな観光アピールが上手な村に負けてしまう。しかし、この村には他の村と違って力を入れている分野がある。それは「芸術」だ。


村役場と隣接する建物から音楽が聞こえてきた

南チロルの民謡「Wohl ist die Welt so groß und weit」の作詞者Karl Feldererが生まれたのがここMargreid/Magrèである。彼の生まれた家が現存しており観光スポットとなっている。また19世紀末の南チロルを代表する画家の一人として有名なKarl Anratherもこの村の出身である。代表作は「Kanzler Biener auf dem Tiroler Landtag」。この村では珍しくない農家で育った彼は父の意向でインスブルックの商業学校に送られたものの、なんとミュンヘンで絵の勉強を始めてしまったのだ。まあ彼の場合は代表作もあるし、南チロルで有名な画家の一人として歴史に名前も残っているし良しとしたらいいだろう。チロルの作曲家であるGünther Andergassenもこの村で生まれた芸術家だ。彼の人生のほとんどは別のチロル地方で過ごしているが幼少期に南チロル地方の「イタリア化」を経験したことから音楽活動と並行し「南チロル解放委員会」のメンバーとして活躍していた。南チロルの鉄塔を爆破するための火薬の密輸に携わっていたとの事でイタリア当局に逮捕され、ミラノの刑務所で7年間服役する。服役後は主に合唱曲を中心とする作曲活動と音楽教育活動に専心した。Margreid/magrèは地理的に昔の国境に近いので家族で安全を求めて他の地域に移動したのであろう。抗えない時代の潮流に人生を狂わされた人間がこんな小さな村にもいたのかと思わされる。


ヨーロッパで最も古いブドウの木(1601年)
天然記念物に指定されている

そして実はここは隠れスポット!ワイン好きは聖地と言っておけ!(そうか?)なんとこの村にはヨーロッパで一番古いブドウの木があるのだ。残っている記録によると1601年のものだそう。今でも毎年花を咲かせて実を結ぶこの古木は天然記念物に指定されている。村の中心のどこかにあるので頑張って探してみよう。なあに心配しなくても村はとても小さいからすぐに見つかりますよ。

というわけでなんとか寝かしに寝かした記事を書き終わったぜ!さあて次の村はどこかな?ってまだ写真も撮りに行っていないし、その村行くの初めてだわ(笑)それではまた次回!

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