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記憶に残った楽しい感情

こんにちは、白紫菖蒲です。
今回は「記憶に残る感情」について書いていきたいと思います。


以前働いていた小規模デイサービスでのことですが、90代の女性の方で、他所のデイサービスでご利用者様同士の仲が悪くなってしまい、人数の少ない所を探されていた所、白羽の矢が立ちご利用となりました

利用当初は
「もう、デイサービスに行きたくない」と仰って、利用の拒否をされてみえましたが、90代でお一人暮らし、御家族様は遠方にお住いでしたので、週一回だけでも利用して欲しいと御家族様からの要望もあり、ケアマネージャーさんや訪問ヘルパーさんのお力もお借りして、渋々ながらも来所して頂けることとなりました


ご本人様が気持ち良く来て頂ける糸口は無いかと、色々とお話ししていく中で、


「昔は、お抹茶を点てるのが好きでした」

と、お聞きした時に、他の職員と相談し
敬老の日にお抹茶を点てて頂けませんか?とお願いをしました

日付けが覚えられない等の認知症も若干ありましたので、お願いした内容も覚えてみえないかも…と思っていましたが


次の週、いつもはパジャマ姿で着替えを待ってから出発するのですが、その日は着替えも済まされ玄関先で座ってみえました


「お抹茶は、今日でしたか?」



一週間前に話した内容を覚えてみえたんです

後日談ですが、週3回の訪問ヘルパーさんからデイサービスでお抹茶を点てることを楽しみにされていた事を聞き、提案して良かったねーなんて事を職員同士で話していたんですが、実はその次の週がお抹茶を点てる日だったので、ご本人様に説明をした所、落ち込まれる様子も無くその日はいつも通り過ごされました


そして、お抹茶を点てる当日


お迎えに伺うと
前回と同じように玄関先で待ってみえたんですが



お着物を着ていらっしゃいました!



これも後日談ですが、訪問ヘルパーさんから
お抹茶を点てる日のに向けて着物を用意されていた事をお聞きして、胸が熱くなり

周りのご利用者様からも着物姿を褒めて頂き、その嬉しそうな表情を見て、職員全員が安堵しました

お着物で運動は難しいと判断し、リハビリの先生に事の経緯を説明してその日は運動を控えましたが、問題は入浴でした


ご本人様は、着物だから他の人に迷惑が掛かるので…と消極的でしたが、着付けのできる職員が入浴を案内し問題なく入浴もされ、着物もお一人でスルスルと着られ驚くことばかりでした


その日から、利用の拒否は無くなり
今まで飲み忘れていたお薬も
日付け通りに飲むことが出来るようになりました


今回、本当に周りの方の協力がなければ
叶えられなかったことであり
ご本人様の意志を尊重し
全員が笑顔になれたことを感謝しております

「楽しみ」なことがあると
「前向き」になれる
「嬉しいという記憶」は心を動かす

私はその事を教えていただきました


本日も読んでくださり、ありがとうございました

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