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見える対応、見えない対応

こんにちは、白紫菖蒲です。
以前にも記事にしましたが、認知症の中でも今回は、レビー小体型認知症について実際に経験したことの対応と、対応した結果について書き記して行きたいと思います。

80代の男性のご利用者様でお一人暮らし、ご家族様は遠方に住まわれ、お薬の飲み忘れを防止するために、訪問看護のサービスを受け、訪問介護にて通院介助のサービス、運動と日常生活の維持が目的で私の勤めていたデイサービスも利用されることとなりました

レビー小体型認知症とお医者さんからの診断があり、ご自身もそのことに対する理解をされていらっしゃいました

レビー小体型認知症は他の認知症に比べ
「症状に波がある」
「幻覚、幻視がある」
という症状が代表的ですが睡眠の質にも影響することや、市販薬の効果が大きく出てしまうこともあります


そのご利用者様は前情報として
「幻覚、幻視がある」ことを聞いており
デイサービス利用開始から、しばらく経って

「家に誰かがいる」

そう仰られ、警察やケアマネージャーさんに連絡をして自宅内を確認したところ誰も居なかったため、警察からは地域の見守りを強化して頂くこととなりました

その事があってから
「家に入って、誰かが自分の靴を履いている」
「干してある洗濯物を勝手に着る人がいる」
そういった言葉が増えていくようになり、家に置いておけないと持ってこられる荷物も段々と増えていきました

そして、荷物が増えるごとに他のご利用者様から自分の物を盗られているという話しになり、貴重品を施設の金庫で預かる等の対応をしていました

私が生活相談員を務めていた小規模の事業所にも利用して頂くことになり、金庫のない施設でしたので、どう対応するか悩みましたが、私は一緒に働く職員さんにお願いをしました

「ご本人様のお荷物や私物を触らないこと」

介護コミュニケーションにおいて基本中の基本、否定しない事を前提として私物を触らないことについて、「家に誰かがいる」ことに対しての疑心暗鬼がありましたので、ご本人の許可なく触れることは不信感を増長することになることを懸念し、お願いしました

最初は小さなバッグでしたが
段々と一泊分の旅行カバンの大きさになり
最終的には、1週間分の旅行カバンに
変わっていきました

ご本人様も不安や不信感がありましたので、介護士に対しても自分で運ぶからいいよとお声かけを頂き、見守ることを決めました

それともうひとつ、私の中で不信感を払拭する方法として、一つ上の段階のコミュニケーション方法をとりました

それは、「私の知らない世界の事を教えて頂くこと」

例えば、おせち料理の黒豆を自分で作りたいと思ったとき、私はご利用者様のお知恵を拝借しておりました。ご家庭によって作り方や材料も変わってきますが、作ったことのない私には先生が沢山いらっしゃったんです

ただ、デイサービスで働いていた時は、そこまで深く考えずに自分が疑問に思っていた事を尋ねていたという感覚だったんですが、そういったコミュニケーションをとっていく中で、自分の中で理解していったことは

「想いを持っているだけでは、伝わらない」

言葉にしたとて伝わらないことも沢山ありますが、関われば関わるほどご利用者様がお元気になっていくお姿を実感していましたので、大事にしていました

私たち介護士の「助けたい」「お元気になって欲しい」という想いが正しくご利用者様に伝わると、不安も不信感も払拭されていく事が分かっていったんです

それは、そのご利用者様から

「ここでは、そんな盗む人、いないよね」

そう、言って頂けた時に自分のやってきたことは
間違いではなかったと実感をしました

そして、協力してくださった職員さんにも感謝をし
私だけでは実現できなかったことを
助けて頂きました

その後、幻視や幻覚が無くなることは
ありませんでしたが
安心感を持って頂けたことは
一歩だったと思っています

貴重品を預かる等の
「見える対応」も大事なことですが
言葉や関わることによっての
「見えない対応」も大事なことです


ああ、ながーくなってしまい申し訳ありません!
本日も読んでくださり、ありがとうございました
誰かの一助となりますように


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