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海外駐在経験シリーズ NY編(4)

1.人材派遣会社との出会い

 私自身、日本では人事部の経験がないため、人材の採用はNYで初めての経験でした。

 しかし、日本企業のカルチャーに合う現地社員の採用は容易ではありませんでした。当時、日本企業の給与は現地企業と比較して差があったと考えられます。学歴が素晴らしくても、本人の期待する給与を支払うことが難しかったため、書類上の候補者の絞り込みには、人材派遣会社に条件を伝え、候補者の履歴書を送付してもらいました。

 当時、NY在住の日系人材派遣会社とは多くの取引がありました。彼らが弊社を訪問する際には、社内のカルチャーやトップの人材に対する考え方を共有し、人材派遣会社は弊社のカルチャーに合いそうな人を選抜してくれました。

 最終選考で絞り込みができたとしても、実際に組織に適応できるかは未知数でした。数十名と面接することもあったため、面接を効率的に進めるために、人事グループ内で候補者の条件をしっかりと議論していました。

 NY在住の日系人材派遣会社の1つであるI社のF社長さんについてのエピソードをご紹介します。F社長が弊社を訪問した際の印象は、背が異常に高く、声が低音で心地よい響きを持っており、存在感が非常に強かったことです。F社長は営業のために訪問したと思われますが、「男声合唱(駐在員も多かった)に入りませんか」と勧誘され、非常に親近感を持ちました。そのおかげで、NYの男声合唱団に所属し(現地で4年間)、日本に帰国後も合唱団を発足し、現在も続けています。仕事を通じて、一生の趣味が見つかるとは思いもよりませんでした。

2.職務記述書(Job Description)の重要性

 当時、空きポジションがあった場合、Job Descriptionが十分に整っていなかったため、人材派遣会社には該当するグループのマネジャーから条件を聞いていました。人事経験者を採用してからは、全員のJob Description作成から開始しました。

 Job Descriptionは、採用の際に双方の認識齟齬を防ぐためだけでなく、本人のスキルと職種に見合ったパフォーマンスが発揮されているかを評価する上でも重要です。

 現在では、日本でもJob Descriptionを作成する企業が増えています。Job Descriptionはかなり詳細に記載されるため、誰が上司となっても現地社員の仕事内容を理解できるようになっています。管理職は各グループのメンバーのJob Descriptionをしっかり読み込み、コミュニケーションを取ることで、現地社員とスムーズに仕事を進められると考えています。

 今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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