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ツチヤタカユキ/前夜

2021年夏にテレビを売り払ってから、
専らラジオを聴いている。
ラジオはテレビに比べ、
出演者と視聴者の距離が近い。
視聴者側(リスナー)なくして成り立たない、
という感さえある。
ずっと聴いていると、
(ああこの人また読まれてるわ)
というリスナーに出会う。
時には番組を越え局を越え、名前を聞く人もいる。

最近はメールやTwitterによる投稿が主流だけど、
伝統的な投稿手法はハガキだ。
大量の投稿を行い、安定的に採用される人は、
ハガキ職人と呼ばれることもある。
著者はそんなハガキ職人の頂点に居た男だ。
食事を摂る時間も惜しみ、とにかくネタを考える。
ストイックに生活のすべてを賭け、
限界まで自分を追い込む。

男が本当に目指したのはお笑い。
その先を見ているから、
前提と考えたハガキの世界では頂点に立てる。
男に喜びはない。
頂点に立っても焦りに追い立てられる。
目指したお笑いの世界で成り上がれず、
やがて挫折の時が来る。
自暴自棄になり自堕落に生きる。
目いっぱい足掻いて回り道をする。
男が最後にたどり着いた場所で見る景色に痺れる。

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