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連載小説 星のクラフト コラム2

 私の名前は滝田ロダン。
 鳥や虫、花や草、樹木から聞いた話を書き留めるのが仕事。

 どんな小説を書く場合にもプロットは作らない。自然物のもたらす言葉を聞いて書き留める。この連載小説『星のクラフト』も例外ではなくその方法で進めている。

 昨日(2023年11月11日)、連載小説『星のクラフト』7では、主人公ランと相棒のナツたちが乗り込んでいる「建物」はとうとう予定されていた軌道の接続を目前とするところまでたどり着いたのだった。一日にひとつのシーンをヴィジョンで見て書き下ろす。本当にその方法で書き、「7」番目でそこまで来たのだ。
 この「7」を書き終えたのが深夜で、朝、目が覚めてから、
 ――そうだ、大鳥神社の酉の市だった。
 なんとなく「目黒の酉の市の由来」を読んでいると、大鳥神社の御祭神である日本武尊が御東征の時、大鳥神社に参拝祈願され、それが酉の日だったので酉の市が行われる旨が書いてあった。
 ――ほお。物語の方でもちょうど軌道と接続するところではないか!
 いつものことながら、ぴったりとシンクロしていた。
 ――是が非でも参拝しておかなくてはならない。
 物語を書き進めるための祈願でもある。

 というわけで、私は酉の市に向かった。
 目黒駅に降り立つまでは余裕綽々だった。大鳥神社には何度も行ったことがあるし、塀が高く威厳はあるが、飾り気もなく参拝客でごった返すところは見た事がない。静かで鄙びた神社なのだから。
 ところが、目黒駅を歩く人の数がいつもより多い。土曜日だからだろうと思ってはみたが、
「最初から大鳥神社にしとけばよかったんだ」
「今年も酉の市になったね」
 などと話しながら歩いている人も多い。
 ――まさか、長蛇の列?
 その予感は大当たり。参拝客は境内から外にも列を作り、数人の警備の方々が誘導していた。それだけではなく、屋台もあり、縁起ものである豪華な熊手もたくさん並んで、多くの人がお譲りいただこうと選んでいた。しかし、参拝客の列はスピーディに進む。六人ずつお賽銭を投げて参拝するようにと警備の方がてきぱきと誘導され、あっという間に私の番がきた。
 平常時にはない陽の気に包まれた神社に圧倒されて、「物語がスムーズに進みますように」とお願いするのも忘れて、いつも通り「お守り頂きありがとうございます。世界中の人が平和で健康で暮らせますように」とだけお願いし、いつも通り、長方形のお護りひとつと、シンプルな熊手のひとつをお譲り頂いた。

 そう言えば、連載小説『星のクラフト』に入る前に、FlashFiction『カラスの羽根 運の卵屋』を書いたのを思い出した。そこで使った写真の一番上が「11」を表し、最後が「7」だった。これはカラスからもたらされた高い視点による抽象的情報であったが、この大鳥神社の酉の市参拝に関しても、連載小説『星のクラフト』がちょうど7番目だったし、日付が11月11日だったことから、まだ抽象情報の具現化が継続しているのだといえる。

 ちなみに、酉の市の前日、11月10日は絵画教室で、行く前に「鳥の知らせ」で、犬の形をした岩の絵を描いた。

それにより、夏に下絵として描いた木炭画から色の絵を創ろうとしていたことを思い出し、10日はそれに取り組んだ。どうしてこのような流れになったのかは、その時は不明だったが、今にして思えば、平常の厳かな大鳥神社が酉の市で鮮やかで大賑わいになることを暗示していたのかもしれないと思う。


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