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牛のゲップについて深く考えてみる。

「牛によるメタンガスがすごく地球温暖化に影響を与えている!」
これまでこういう情報をみても「いやいやー、たかがゲップでしょ??」と正直そんなに深く考えていませんでした・・・。

牛の胃の秘密

牛には4つも胃があるんですね。
牛だけではなく、反芻という方法で食べ物を消化する羊やヤギ、キリン、ラクダなどの動物たちも同じように胃が4つあるそうです。

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反芻動物はまず食べたものを口で咀嚼し一番目の胃に運びます。一番目の胃にはたくさんの微生物がいて、運ばれたものを分解し発酵させます。
そしてまた口の中に戻し、咀嚼し、胃の中に運ぶ、という反芻を行います。牛はこの反芻を1日に6~10時間も行うそうです!(あご強そう・・・)

その後、二番目・三番目の胃でさらに分解させ、最後に4番目の胃に運ばれそこで消化が行われます。この反芻のおかげで、人間などでは消化しきれないような硬い食物繊維の草などを食べることができるそうです。

牛にとってはとても必要なメタン生成菌

一番目の胃の中にいるいろんな種類の微生物たちによって分解・発酵が行われ、もともと草だったご飯が栄養源となって牛の体内で吸収されますが、その中でとても重要な役割なのが「メタン生成菌」。

胃の中にいる微生物たちは水素や二酸化炭素をたくさん発生させますが、それらが胃の中で増えすぎてしまうと、他の細菌たちによる代謝分解などが十分に行われずにうまく発酵ができなくなってしまうそう。
メタン生成菌はその水素や二酸化炭素を利用することによってそれらの濃度を下げる働きがあるそうです。

その結果メタンガスが発生し、そしてそれはゲップや排泄物として牛の体外に排出されます。牛やその他の反芻動物たちにとって、メタンガスが発生する仕組みは、栄養を取り入れるためにとっても必要なことなんです。

牛はどのぐらいメタンガスを排出している?

牛は1日に300~600リットルのメタンガスを排出しているそうです。ということは、単純に計算して一頭につき年間109.5~219キロリットル。世界には家畜として数えられている牛の数だけでも14億頭。
そうなると年間で・・・2800億キロリットル(あってます?)。

ちなみに、メタンガスの地球温暖化係数は二酸化炭素の28倍(20年のタイムスケールで考えた時には84倍!)
これってものすごい数字になっちゃう(ってことはわかるんだけど、わたし、計算できない・・・)

2015年の数字では、世界のメタンガスは24億トン(CO₂換算)発生しており、その発生源の24%が「消化管内発酵」つまり、家畜の胃の中で発酵されて発生したメタンガスだったそうです。

※地球温暖化係数(GWP)のタイムスケールとは・・・それぞれの温室効果ガスの寿命が異なるため、残留期間を計算したうえで20年、100年、500年の数字を出しており、一般的には100年の影響を考えた数字が使われるそうです。

わたしが考えていること

牛にとっては必要なメタンガスの排出ですが、人間によってメタンガスの発生を減らすことができるような、牛のエサというのがいろいろ研究されています。
もちろん、早急にメタンガスの排出量をなんとかしなきゃいけない段階なので、牛たちには我慢してもらってそういった食事をとってもらうのも仕方がないと思う(自分が牛だったら、新鮮で美味しい牧草が食べたいけど)。

私にとって、牛がいる光景って、アルプスの少女ハイジみたいなだだっ広い場所の放牧で自然で青々とした草を好きなようにむしゃむしゃして…っていうイメージ、があったんです。いや、もちろん大人になってからは、もう少し現実を知ったので、そうではないんだろうということも頭の片隅にはあったけど。
ただ、牛が生きるために自然な過程で排出しているメタンガスがここまで大きくなってしまったのは、人間の手で牛の数を増やしてきたことも原因なのかなーとおもったりします。

わたしは今はお肉も乳製品もとってないけど、畜産業がなくなればいい、なんては思っていません。牛たちを大切に大切に愛情をかけながら育てている畜産農家さんはたくさんいます。
ただ、一方で工場畜産と呼ばれるような、流れ作業のように家畜を生産し数を増やして販売するビジネスがあるのも現実。

だから、これからもお肉や乳製品を食べ続けると決めている人はできるだけ、そのお肉や乳製品がどうやって生産されて育てられて自分の目の前に届いたのかを考えて購入してほしいな、って思っています。

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