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次会う時にはまた、乾杯をしよう。

彼女とサシ飲みするくらい仲良くなったのはいつからなのか、そう考えるとほとんど記憶にない。
きっと今から5年以上前のことになるし、なんでサシ飲みしようってなったのか、思い返してもわからない。
それほどに、記憶というものは曖昧だ。

1人でほろ酔い気分になると考えてしまう友達がいる。
今日は少し、その友達の話をさせてね。

中学1年生の頃、彼女と出会った。
合唱部の彼女は歌声が綺麗で、すらっとした高身長で、髪型はいつでもポニーテールだった。絵がとても上手で、控えめな性格かと思いきや、かなり大胆で、ちょっとぶっ飛んでいて、そんな彼女のことを、わたしはかなり好いていた。

彼女とは同じクラスで、わたしの仲のいいグループはクラスの半分の女子を取り巻く大きなグループで、わたしも彼女もその中の1人だった。
2人でお出掛けをすることなんて全くなかったし、2人きりで話すなんてこともあんまりなかった。
2.3年生はクラスが離れてしまったが、隣のクラスだったため、毎日のように挨拶を交わすような仲ではあった。
でも、本当にそれだけだった。

たしか、高校生の頃、一度だけ2人で遊んだことがある気がする。
別々の高校ではあったが、彼女の彼氏がわたしの幼馴染だったというのもあり、久しぶりに連絡を取り、じゃあ会おう!ってなったのかな?多分一度だけだった気がする。

それなのに、社会人になってから2人で飲みに行くようになった。
なんでなんだろう?なんでかな?全然覚えてないんだけど、でもほんとうによかったなって思う。
友達の少ないわたしは彼女と飲みに行くのがとても楽しみで楽しかったし、中学生の友達で大学まで付き合いがあるのは彼女しかいなかった。

会えば彼氏のように抱きついて再会を喜べる友達は、わたしにとってこの時は彼女しかいなかった。
朝まで話が尽きないのも彼女しかいなかった。
会えば毎回楽しくて、また会おうねと毎回約束をした。

ある日、中学1年生の時の同じグループだった子から突然連絡が来た。

彼女が亡くなった連絡だった。

涙が出なかった。
突然すぎて、なにがなんだか分からなくて、
「あれ、もう会えないってことであってる?」
と、ベットに身を投げ天井を見ながら自問自答していた。
違う友達からもわたしのもとに連絡が来て、何度も鳴る通知は彼女が亡くなった知らせばかりで、そこでやっと
「あぁ、これって本当なんだ」
と、実感した。
泣きじゃくることなく、ただ、目から涙が溢れた。

地元へ帰り、彼女の葬式へと向かった。
死因は分からなくて、ただ、自殺かもしれないとだけ、噂が流れていた。
死因なんてどうでも良いと、そう思っていたが、自殺だったとしたのなら
「あの時会えてたら何か変わってたの?」
なんて、馬鹿みたいなことを思った。
なにも、変わるわけなんてないのに。

あの時というのは、彼女が亡くなる3ヶ月前くらいに
「会えない?」
とLINEが来ていた。
大学の実習やテストと重なっていたため、落ち着いたら連絡すると言って、まだ連絡できていなかったのだ。
「わたしが連絡できてたら変わった?この現実、変わってた?あそこで会えてたら、、、」
わかっている、変わらないことくらいわかっている。
それでも、そのことばかり考えてしまう自分がいた。

彼女と最後に会った日のことは、楽しすぎて今でも覚えている。
忘れないように、ここに書き留めさせて欲しい。
いつも通り夜集合で、この日はビアガーデンに向かった。
くだらない話や愚痴なんか言いながら、外でご飯とお酒を飲んで、2軒目へ向かった。
お腹もいっぱいになり、彼女の家へ向かった。
この日は彼女の家へお泊まりの予定だった。
家へ帰り、今見返せば191枚のくだらない写真を撮っていた。
あの時はやっていたsnowを使って、好きな女優の顔ハメしたりとかで遊んでた。
動物が大好きな彼女に水族館へ行きたいと話をすると、彼女も行きたいと言ってくれた。
どこへ行こう、道外の水族館行きたいね、ここはどうかな、一緒に行きたいね、行こうね
なんて、旅行の軽い口約束を交わした。
そんなことをしていると眠気もどこかへ行ってしまい、再び酒が飲みたいと思い、着替え直して再度飲みに出かけた。
そんな楽しい夜、どこを探しても他にはなかったと思う。

ほんとうに、どこを探しても見つからない夜になってしまった。

たまに、無性に会いたくなってしまう。
まだ生きてるんじゃないかと、たまに錯覚してしまう。

ねえ、あなたもわたしのこと好きだったのかなあ
わたしはあなたと過ごした日々が今はすごく愛おしいし、あなたのことが好きだよ。

だからさ、わたしがそっちに行く時には乾杯しようよ。
そっちでたくさん幸せな話も愚痴も用意しといてよ、わたしはこっちでたくさん用意してから向かうから。
だからわたしのことを忘れないで待っててね、わたしも忘れないから。

忘れたくないから。

そんな、自己満足たっぷりの投稿でした、付き合ってくれてありがとう。
忘れたくなくて、でもぶつけるところがないので、ここに残させてください。

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