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ここ数日の東アジア系の人に対するヨルダン人の反応から自己防衛と差別の境界線が垣間見えた【JOCV Day199】

中国武漢を発生源とするコロナウイルスのニュースがヨルダンでも連日報じられている。中東ではアラブ首長国連邦で感染が確認された。中東地域に住む人々の関心は高まっている。

私の勘違いかもしれないが、ここ数日間、街を歩いている時に現地の人々から感じる視線がいつもと違う。東アジア系の顔が目立つこともあり視線は日頃から感じるのだが、ここ数日間は特に見られている気がする。普段なら執拗に勧誘してくるバスや乗合タクシーの運転手の人たちも、今週は少しトーンダウンしている印象を受ける。警戒されているのだろうか。

職場の同僚は私が昨年7月からヨルダンにいることを知っていることもあり、いつも通り接してもらっている。仕事においては不自由なく取り組めている。上述したのはあくまで街の人々の反応についてである。

現地のニュースでは連日のように新型コロナウイルスについて報道されている。SNSのトレンドでも「中国」・「コロナ」が入っている。コロナウイルスに感染している中国人は全人口からするとほんの一部ではあるのだが、今の状況下においては「中国」から「コロナ」を連想する人は多かれ少なかれいる。コロナウイルスに警戒することが中国人を警戒することに繋がりうる状況だ。

以下は所感になるが、中国をはじめ東アジア系の人を見かけて警戒することは、コロナウイルスに感染することを防ぐためという文脈においてはまっとうな心掛けであると思う。

武漢でウイルスが確認された後からヨルダンに入国した中国人も少なからずいるだろう。もちろん新型コロナウイルスが発生する前からヨルダンに住んでいて、理論上コロナウイルスに感染していない中国人が大多数を占めている。実際まだヨルダンではコロナウイルスの感染者は確認されていない。

しかしながら目の前に現れた東アジア系の人物が中国人なのか日本人なのか、短期旅行者なのか長期滞在者なのか、これらを見分けることは難しい。話しかければ分かるのだろうが、今回に関しては話すこと自体が自分への感染のリスクを高めることになる。人から人への感染も確認されている中、自分の目の前に現れた東アジア系の人を警戒することは、自分への感染を防ぐ点で心掛けてよいことの一つだと思える。

前述した通り、ヨルダンの人々にとって中国人と韓国人と日本人を見た目だけで区別することは困難である。ヨルダン人とパレスチナ人とシリア人を見た目だけで区別することが日本人に難しいことと同じだろう。

そのため街中で私を見た人が私を中国人と勘違いすることに対して怒りを感じることはない。新型コロナウイルスの世界的拡大が懸念されるなかでは、私を見て警戒することも、「まあそういう反応するよね」というくらいの感情だ。ここまでは「自己防衛」ということで私の中では何とか納得している。

納得できないことは、私を見るや否や私を指差して「中国人!コロナ!」と叫ぶことだ(n=1)。明らかにからかいの笑みがこぼれている。またすれ違いざまに「コロナ」と言われることも承知できない(n=2)。なぜなら彼らは感染するかもしれない可能性を排除するための行動を取っていないからだ。私の方に近づいてくるし、私に声が聞こえる距離を保った状態ですれ違う。これらについては「自己防衛」の範疇から逸脱していて、「差別」に充たると思っている。相手を傷つける意図が透けて見える。

ここ数日の東アジア系の人に対するヨルダン人の反応から自己防衛と差別の境界線が垣間見えた。

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