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緒方貞子さんとJICAボランティア【JOCV Day106】

noteを書き続けて半年近くになる。備忘録としての位置づけなので、忘れたくないこと、忘れてはいけないことを優先的に書いている。今日は緒方貞子さんが亡くなられたことを書かない訳にはいかない。

国連難民高等弁務官(UNHCR)を10年間務め、人道支援に尽力された緒方貞子さんが、10月22日に亡くなられた。92歳だった。日本だけでなく、世界各国のメディアが報じており、UNHCRもプレスリリースにて緒方さんの訃報を伝えている。

1991年から2000年まで国連難民高等弁務官を務められた。その後2003年からはJICAの理事を9年間務められた。

話したことも、直接見たことも無い。一方的に存じ上げているだけである。世界最大の難民受入国の一つであるヨルダンで活動をしているからなのだろうか、難民について調べたり、実際に難民の方にお会いして話しをする中で、緒方さんを勝手に身近に感じていた。訃報が届き、今日は仕事をしていてもなぜか身が入らなかった。

JICAの理事に就任された翌年の2004年、駒ヶ根の青年海外協力隊訓練所が開設25周年を迎え、その記念式典に出席された緒方さんが講演にて青年海外協力隊について話されている。JICAボランティアはこの機会に一度目を通しておくべきだろう。

「グローバル化が進む世界では、一国の安定と繁栄は他国の安定と繁栄なくして達成できない。国際協力は日本の国際関係の支柱であり、日本の国益は相互依存の中でのみ追求できる...(中略)...一人一人が途上国の人々の想いを共有し、できることから始めていこうという思いが日本中に広まることで、国際協力が日本の文化となっていく」

講演終盤での緒方さんの発言。短い文章だが、JICAボランティアにとって大切なことが詰まっている。世界のあらゆる地域で起こっていることで、日本が無関係なことは一つも無いことを、緒方さんは肌で感じていたのだろう。緒方さんの頭の中では、世界中で起きているあらゆる出来事が、複雑かつ繊細に繋がっていたのかもしれない。「教養」の定義にはいろいろあるだろうが、「森羅万象、ありとあらゆる事象の繋がりを見い出す能力」というのが今の自分にはしっくりくる。

JICAボランティアの目的の一つは、派遣される国や地域の安定と繁栄に、草の根で貢献することである。果たして目的に忠実に毎日を過ごせているだろうか。赴任してもうすぐ4ヶ月が経つが、改めて見つめ直したい。

JICAは2009年に、当時の与党であった民主党による事業仕分けの対象となった。ODAへの予算も縮小傾向の中、JICAボランティア事業は今日まで存続している。どのような議論や調整があったか分からないが、私がJICAボランティアとして現在活動できているのも、緒方さんの尽力によるところがあるに違いない。

緒方貞子さんの多大なご尽力を称え、ご冥福をお祈り致します。

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