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協力隊のリアリティ【JOCV Day101】

青年海外協力隊の任期は原則2年間であるが、任期の折り返し地点を迎えた先輩の隊員による中間報告会が行われた。中間報告を実施するかどうかは国によって様々みたいだが、ヨルダンでは任期が1年間終了した時点で必ず実施している。質疑応答を含めて1人20分の持ち時間。今回は発表する隊員が10人以上いたため、終日がかりの報告会となった。先輩の隊員の中には休日にスポーツをしたり、飲んだりする人もいるのだが、活動について確りと話を聞くことは殆ど無かった。

派遣地域や配属先、活動内容が異なる先輩の発表を聴いてまず感じたのは、協力隊それぞれが見ているリアリティの違いだった。「草の根の外交官」とも言われるJICAボランティアだが、活動の舞台はそれぞれ違う。私が2年間ヨルダンで生活をしても絶対撮れないだろう写真や動画がたくさん出てきた。現地の人との付き合い方も多種多様だ。楽しみながら、悩みながら、隊員がそれぞれ活動していることが良く分かった。隣の畑が青く見えるとはこのことだろうか。

私が抱くヨルダンの印象は、私が関わった人、私が見た景色によって形作られている。私だけでなく、一人ひとりの隊員がそれぞれ違うヨルダンの印象を抱いていて、どの隊員が語る「ヨルダン」も正しくて、正しくない。今回の報告会に参加して、「ヨルダンは、、、」とか「ヨルダン人は、、、」などと安易に言わないようにしようと自身に言い聞かせた。

事実を拾っていくことは大切だろう。「職員の給料はいくらか」、「学校のクラスは何人編成なのか」、「開催したイベントに来た人は誰か」、「自分の意見に賛成する人は何人いるのか」。印象が人それぞれ違うからこそ、議論においてはファクトの共有が重要になってくる。日本ではファクトフルネスが流行しているが、異国の刺激に日々晒されるJICAボランティアにとっても、行き詰った時にファクトを拾ってみることで活動が前進するかもしれない。今日の報告会だけでも、ヨルダンでは幼稚園は小学校入学前の1年間だけ通うことや、公立学校教員の給料アップは幼稚園の先生にも適用されることなどが分かった。また、これまでに収集した情報と照らし合わせると、ヨルダンでは時給2JDあたりが最低賃金ラインだと思われる。

もう一つ印象的だったことは、ヨルダンには多種多様な組織が援助に入っていることだ。国連、国際NGO、世界各国におけるJICAに相当する組織、企業のCSRなど、様々な形の援助が入っている。JICAボランティアはこれらの組織による活動を末端で観察しているが、ある援助団体が提供した物資が使われることなく売りに出されていた報告を聞いて、援助の在り方を考えさせられた。ある一つの狭い地域に根差して継続して活動する協力隊だからこそ、その地域での人・物・金の動きをリアルに捉えられるのかもしれない。

学ぶこと、感じることの多い報告会だった。私の中間報告はおよそ9ヶ月後に行われる。


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