エマ・マリス「気候変動にパニックに陥ることなく立ち向かう方法」【JOCV Day179】
エマ・マリスという米国のサイエンスライターがいる。主に自然環境に関する記事が専門で、NatureやNational Geographicに多くの記事を投稿している。自然に対する私自身の考えに大きな影響を与えてくれている人で、このnoteでも以前に取り上げた。
昨日のニューヨーク・タイムズにエマ・マリス先生のオピニオンが掲載されていた。
「気候変動にパニックに陥ることなく立ち向かう方法」となるだろうか。副題にもある通り、ストレスに向き合いつつ気候変動への闘いに参加するための5つのステップを紹介している。以下その内容を私なりに日本語に落とし込んだものである。
1) まずは自分は何もやっていないと恥じることを止める。
私たちの日常生活が気候変動に寄与してしまっていることは疑いようが無い。だがそれは金と権力を持つ人々が、この地球上で慎ましく生活することをほとんど不可能にするシステムを構築したからである。私たちはしばしば「すべての人が消費習慣を改めることで問題が解決できるだろう」と考え、実際に改められていない状況に直面して自己非難しているが、これでは本当に非難されるべき巨大企業や政府と闘っているとはいえない。まずは「正しい消費行動が気候変動と闘う唯一の方法だ」という幻想を捨てることだ。
2) 過度な倹約などの自己犠牲ではなく仕組みを変えることに焦点を当てる。
1) と重なる部分もあるが、気候変動の問題は個々人の犠牲によっては解決されない。気候変動と闘う政治家に投票したり、莫大な富を築いている企業や人々を追及することによって、抜本的な変化を起こすことができる。
※エマ・マリスは自身が住んでいるオレゴン州での新規液化天然ガスプロジェクトへの抗議活動を行う団体に所属している。プロジェクトを中止できた際に抑えられる二酸化炭素の排出量は、プロジェクトの反対に署名をした約42,000人が排出する二酸化炭素の総量よりはるかに大きくなると述べている。
3) 既に活動している団体に参加してみる。
ひとりの人間だけでは大きな変化を起こすことはできないが、幸運にも気候変動活動に取り組んでいる団体がいくつかある。地域に根差して特定の化石燃料プロジェクトの停止に注力している団体があれば、世界各国のリーダーに倫理的圧力をかけることに注力している国際的な団体もある。気候変動は所得の不平等と不公平に関連しているため、もしあなたの情熱が人種差別撤廃や貧困者の権利のための闘いに向けられているのであれば、そのような活動もまた気候変動に闘っていることになる。
4) 自分ができることを見つけて無理の無い範囲で継続する。
特定分野の専門家にならなくても、既に持っているスキルとリソースを提供することで闘いに参加することができる。そして自分が持っていないようなスキルやリソースを持っている他の人たちも、それぞれ自分ができることすることで気候変動に立ち向かっていると信じよう。自身が持続できる範囲で無理せず継続し、燃え尽きないようにしよう。
5) 闘う相手だけでなく闘う目的を知る。
精神的健康とモチベーションを維持するためには、現実的なゴールをイメージすることが大切だ。密集しているけど住みやすい都市。公共交通機関と緑豊かな公園が並び、生きものでにぎわう都市。子どもたちが抗議デモに行く必要が無く、木登りで遊んでいる未来。恥じを捨て、活動に参加し、未来を望むことではじめて未来の実現が見えてくるのだ。
掲載されていた挿絵がとても印象的だった。
Emma Marris "How to Stop Freaking Out and Tackle Climate Change" より
地球から大地へと足をおろし、自分にできることを継続し、その活動の輪が次第に広がっていく。
燃えている地球に恐怖せず、足元の自然から始めていけば良いと改めて思わせてくれる記事だった。
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