見出し画像

ヨルダン南端の港町アカバ【JOCV Day139】

先週末、ヨルダン南部の砂漠に位置する奇岩の谷「ワディラム」訪れたが、その際、ヨルダン最南端の港町であるアカバを経由した。過去のnoteも参照しながら、アカバという街の機能についてまとめようと思う。

■アカバとアカバ湾

紅海(Red Sea)を臨むアカバは、ヨルダンで唯一の外海に面した街である。アンマンからはバスで5時間、片道10JD(約1550円)程度でアクセスできる。

下のGoogle Map上で赤いピンが打たれた場所がアカバである。

図1

アカバは文字通りアカバ湾(Gulf of Aqaba)に面した街になるが、このアカバ湾にはサウジアラビア、パレスチナ/イスラエル、ヨルダン、エジプトと5つの国と地域が面している。どの国と地域にとっても外交上極めて重要な海である。

図2

赤線で囲まれた部分がアカバの管轄である。すぐ西にパレスチナ/イスラエル、さらに西に行くとエジプトが見える。

画像2

アカバの公共ビーチ。欧米諸国の人が身体を焼いている傍ら、ムスリムの母親が子どもたちを砂浜で遊ばせている。日本では全く見られない光景だった。アカバは世界有数のダイビングスポットでもあり、ヨーロッパやアフリカから多くのダイバーが訪れている。

■貿易拠点としてのアカバ

遊泳区域の直ぐ外側を貨物船や客船が往来している。前職が貿易の仕事でかつ海上輸送の貨物を取り扱っていたので、久しぶりに数万トン規模の貨物船を見て気持ちが高鳴った。以前「ヨルダンとカリ肥料」というタイトルでnoteを書いたが、ヨルダンの主要輸出品目がカリ肥料で、Arab Potash社がアカバ港から世界各国へカリ肥料を輸出している。

日本から来た船、日本へ向かう船もあるだろう。ヨルダンの対日貿易は、日本からの輸入額が613億円、日本への輸出が54億円となっている(2017年財務省貿易統計)。

■水資源としてのアカバ湾

ヨルダンが恒常的な水不足であることはこのnoteでも何度か取り上げた。現在ヨルダンの水を支えているのは主に地下水と表流水だが、増加する水需要に対応するため、アカバ湾から海水を死海まで引いてくるという案が出ている。紅海から死海へ水を送る、"Red to Dead"プロジェクトだ。

隣国のイスラエルも水の確保は課題の一つであり、Red to Deadはイスラエルとヨルダンが共同で進めるプロジェクトである。しかしながらイスラエルはネタニヤフ現首相、および最大野党の代表であるガンツ氏が共に組閣を断念し、3回目の総選挙が行われる可能性が浮上している。

ヨルダン政府によれば、紅海から死海への人工水路は2025年に完成する計画とのことだが、プロジェクトの進捗はイスラエルの今後の情勢に大きく左右されるかもしれない。

観光地であり、貿易拠点であり、ヨルダンの水源になる可能性を秘めている街がアカバである。今回はワディラム訪問の中継地として訪れたが、機会をみて時間をかけて散策したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?