ぶっちゃけその音楽のどこが好きなのさ。

流行りのj-popを聞くと「君」とか「あなた」とかまったくもって縁のない言葉が出てきて表情に困る 

「君の運命の人は僕じゃない」
だとか
「君のドルチェ&ガッバーナ」
だとか
「さわがしいひびにわらえない君に」
だとか

縁がないものばかりだ。

僕の人生はもっと灰色で薄く仄暗くまるで深海魚が遊泳するようなそんなものだった。
明るい光が刺す水面の向こうの砂浜で、明るい色の水着を着た人たちが踊っているのを眺めている。そんな人生だ。

でも、僕は、「君」だとか「僕」だとかが歌詞に乱用されている曲を聞く。なんとなく耳障りがいいからだ。
「kinggnu」も「あいみょん」も「夜に駆ける」も聞く。髭男も聞く。(瑛斗はあまり聞かない。)

理由は「なんとなく耳障りがいいから」という極めて主張の弱いもので、まぁでも大体そんなもんだよなと思いながら聴いている。

近頃、hiphopを聴くようになった。分かりやすくいうと「ラップ」。1年ほど前からラジオにハマり、クリーピーナッツや、オードリーの影響で、聴き始めたのだが、とても面白い。元々小説を読んでいた僕にとって
「5分前後しかなく、メロディに乗せながら、韻を踏み、何かを伝える」
という表現技法は僕にとっては革新的で、綿密で緻密な詩を読んでいるような感覚になる。

「ラップ」というと、全身タトゥーで純金のネックレスつけてダボダボのパーカーとジーパンの人が「ヒェッ」って言ってるのを想像するかもしれないが、案外そうでもない。根っこにあるのは「韻を踏む」という点のみ。中身は自分の伝えたいことを詰めればいいのだ。

hiphop歴1年ほどの若輩者ではあるが、僕の好きな曲を数曲ほど紹介してみようと思う。どれも有名な曲(小説で言えば坊っちゃんとか霧島部活辞めるってよを紹介しているようなものなので、もし聞いたことない人がいれば、ここから聞いてみてって感じで。)

歌詞を読みながら聞けば濃密な5分になることは疑いようがないだろう。
と同時に「ラッパー=ゴリゴリのヤンキー」と思っている人にも少しは印象を変えることができるだろうかという狙いもある。

hiphopを聴いていくうちに、「USは、、」みたいな単語を聞くようになった。USとはunited statesの略、アメリカのことだ。hiphopは元々貧困でディスコに通えないアフリカ系アメリカ人から生まれた音楽のジャンルらしい。「本場のhiphopはウンタラカンタラ」みたいなマウントの撮り方が流行っている。(この辺りの解釈が曖昧なので、興味を持った人は自分で調べてくれ。)

つまりhiphopはアメリカで生まれた音楽な訳だから、「本場の音楽が最高!」とか「本場のやつ聞いてないのはエアプ」みたいなマウントおじさんが出てきてもまぁしょうがない。

アメリカのなんちゃって寿司屋を成敗する番組がゴールデンタイムで放送される国なのだから、逆の流れがあっても当然だろうなとは思う。
(知らない人はアメリカ 寿司 テレビで検索)

無知は罪という言葉があるくらいなので、一度も聞いたことがないというのも好ましくないだろうと思い、apple-musicでUSのhiphopを聴いてみたところ、なんか、楽しい。

今まで僕は音楽に重要な要素は「歌詞」で、それを効果的に伝える手段として「音楽」という一つの手段を用いているのだという認識で、音楽を聴いていた。

歌詞の全くわからない曲に「なんか楽しい」という感情を抱いたタイミングで、音楽とは本来「音を楽しむ」というものなのかもしれないという考えに至った。

長々と話してきたがここでやっとタイトルの回収になる。

「あなたはその音楽のどこが好きなんですか?」

その音楽の歌詞を聴いているのか、その歌詞を作った人間の人生を想像して聴いているのか、歌詞の裏に流れているビートを聴いているのか、その2つが組み合わさるハーモニーを聴いているのか、はたまたその音楽を歌っている歌手の顔を聴いているのか。

いろいろな考え方があり、正解はない。

自分の考えが少し広がった気がした。

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