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Restaurant 〜夕食と友と記憶~

そう、私はさ、最近思い出したのよ。
以前本当におかしくなるくらい大好きだった元彼とよく、話題になってる行ったことないレストランに行ってたこと。
でねえ、よくその店の売りの部分をさ、本当だー、本当にお肉でかい!とか言って楽しむのと同時に粗探しすることもやってた。

接客の人の言葉遣いがちょっと癪だとかさ、ちょっとグラスが汚れてるの見つけたりとか、他のお客さんの格好見つけてね、ああ、あれちょっと不倫みたいじゃない?とか噂したり、服のセンスがちょっと悪いみたいなことを勝手に決めつけてまた話のネタにしたりさあ。

〜昔のアンタだね、私にはそういう記憶の方が強いかなあ。〜

何だろう、今考えればさ、尖ってたというかやなやつだったなあ、てね。
別に気にしなくて済む事の方が多かったのに自分で自分の外側の物事や人に距離を詰めてたんだなあって、私思うのよ。

周りのお客さんだって色んな人がいるわけだし、お店だって働いている人たちのの調子とか、天気で私の印象や体験だって変わっていくじゃない。

でね〜今はすっごく幸せだってさっき言ったじゃない?

そう今の旦那さんと出会ってからもね、外食は行くよー^_^

あなたの知ってる元彼の時より回数は減ったし、値段もほら、別にそんなに高い場所なんて行ってないと思うよ〜?

でもなんだかすっごい楽しいの。
たまに行くからいいのかなあとも思う。
でね、今まで食べたことなかった味付けとかに感動してこれ今度作れるかなーとか話したり、コッソリ優しそうな店員さんに聞いたり、笑。

たまにお店の人が張り切ってやってくれるようなサービスってあるじゃない?

まだ料理がジュージューいってる状態で、何々の窯焼きお待たせいたしましたー!!
とか他のメニューの時より声ちょっとだけ大きくして、熱いのでお手をまだ触れないでください^_^ みたいなの。

その時私と旦那さんの2人でちょっと肩すぼめて小さくなって、恥ずかしそうに笑うのよ。

だからなんかね、昔のこと思い出してたら今全然違うかもって思うのよ。いや、バカだったなーとか、ちょっと謝りたい人とかもいるよ。

でもね、その時の私が今の私を探していたんだと思うのよ。

だからその時の私も私。今でも否定したい気持ちになることもあるけど、いなかったことにはしたいわけじゃない。

今日忙しいとこありがとうね!久しぶりにミホと会えて良かったよ。

< ミホは片肘を立てながら、あんた本当変わったねと言い、飲んでいたレモンティーのストローを少しだけ噛んだ>

#レストラン #夕食 #物語 #shortstory
Photo: In Paris

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