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食道がん日記#30 下咽頭がん 胃ろう造設

下咽頭がんの治療方針が決まるまで、決まってからも、気持ちが浮上できずにいた。化学放射線治療を行なうことに決まり、予防的胃ろう造設をすることになった。

◆原発巣:胸部食道ステージⅣ
・抗がん剤4クール+放射線治療【2023年9月~2024年2月】
◆重複がん①:下咽頭(梨状陥凹部・喉頭蓋)、頸部食道ステージⅠ
・内視鏡手術(ELPS) 下咽頭【2024年4月】
・内視鏡手術(ESD) 頸部食道【2024年6月】
◆重複がん②:下咽頭(輪状後部)ステージⅢ(T3N0M0)
・胃ろう造設       ←今ここ
・抗がん剤+放射線治療

もう2日前に胃ろうは造設されているんだけども、ちょっとその前、治療方針が決まるまでから振り返って書く。

食道がんで放射線治療を行なったため、下咽頭に放射線が照射できるかはギリギリまで確定しなかった。CT、MRIの結果が出ても、放射線のシミュレーションを作ってみるまでわからないという。こちらとしては、できるかできないかでその後の人生が大きく変わってくるわけで(できない場合は下咽頭・喉頭全摘出の一択)どちらの可能性が高いのか感触でも知りたい。放射線科の医師は表情を一切変えず「わかりません」の一点張りだ。当たり前よね、患者をぬかよろこびさせるわけにはいかない。

放射線治療の可否がわかるまで、新たにがんと診断されてから2週間かかった。その間のストレスはかなりのものだった。

声を永久になくした自分とその後の人生がどうしても想像できなかった。声をなくしてまで生きていく意味があるのかもわからなかった。声をなくすという意味では、つんくさんと忌野清志郎さんが浮かぶ(下咽頭がんではなく喉頭がんだけど)。つんくさんは生きるという選択をして声を失った。今の私にその覚悟はない。

ずっと答えが出ないまま、何の覚悟もできないまま、放射線科で可否の結果を聞く日がきた。リンパ周辺の予防照射はできないけれど、原発巣には照射できるとの回答だった。

ほっとしたし、本当にうれしかった。でもその時点では「よし、がんばるぞ!」という気持ちにはなれなかった。

放射線治療の辛さはわかっているし、今回は食道よりも副作用が強いだろう。胃ろうも造らなければならない。それよりも放射線治療で完治するかはわからない、ということが気持ちが浮上できない理由なんだと思う。

どんな病気であれ治療であれ、完治は約束されていないわけなんだけど、声を失う不安がのしかかったままなのだ。私は結局まだ覚悟ができていない。

覚悟は何もできていないが胃ろうは無事造設された。絶食3日目、何でもいいから早く食べたい。



治療がんばります!