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ブルームの日なので『ユリシーズ』を読んだ

ブルームの日なので、第7エピソード「アイオロス」を久しぶりに読む。世間的には退屈な章とされているらしいがとんでもない。やはりすばらしい。気付いたことは無数にある。

(1)冒頭から音に満ちている。『ユリシーズ』は音の饗宴でもあるが、ここは常に波の音のようにさまざまな声や音があふれる空間である。
Before Nelson’s pillar trams slowed, shunted, changed trolley, started for Blackrock, Kingstown and Dalkey, Clonskea, Rathgar and Terenure, Palmerston Park and upper Rathmines, Sandymount Green, Rathmines, Ringsend and Sandymount Tower, Harold’s Cross.

(2)言葉崩しや反復による意味の解体がたくさん出てくる。これなど最高。
—The Rose of Castile. See the wheeze? Rows of cast steel. Gee!

(3)Romeの話が新聞の編集室で出てくるのも、『ジュリアス・シーザー』を考えると当然なのだ。ジョイスは『ハムレット』と『マクベス』を出してきて、巧みにそっちを隠している。さすが意地が悪い。

(4)手がかりとして回文が出てくる。
˘Madam, I˖m Adam. And Able was I ere I saw Elba
反転とは、新聞の活字をしめすわけでもある。とすると、反転像のほうに真実が隠れていることにもなる。

(5)エピソードがアイオロスをめぐるのだから、例の"Gone with the wind"が出てくるのも当然である。続いてTaraも出てくるし、ミッチェルが頂いても不思議ではない。

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