ようやくまともなヴィオラ曲集を見つけた
自分の弾けそうな範囲のヴィオラ曲集を漁っているのですが、なかなかいい曲集がないですね。個人的に不満な点は以下の通り。
ヴァイオリン曲集の単なる焼き直し編曲
ヴァイオリン曲を原曲のままヴィオラ曲にするとヴィオラだと音域が高くなり過ぎるし、ヴィオラの売りであるC線の音域がいかされなくなる。ひどい場合はC線を使わない編曲物もある。まあこういう編曲も役立つ場合があって、A線の鳴り具合が悪いヴィオラを判定するのにはよいかも。
指番号が書いていない曲集が多い
弦楽器は替え指が豊富であるし、同じメロディを別の弦で弾くこともできる。たとえばA線のメロディをG線で弾くことができる。それが楽曲の表現力を格段に高めている。クラシック音楽では今まで蓄積されてきた伝統的な指使いがあるが、そうした指使いではないものや、自分で考えろという曲集はどうなのかと思う。伝統的な運指方法を学ぶことがクラシック音楽では大切。その基礎があって、次のステップとして表現を高めるためや、より弾きやすくするために自分で考えるのはもちろん大切なことなのではあるが。
ユニゾン編曲
ピアノ曲を弦楽器のデュオに編曲するときによくあるのだが、ピアノの旋律とほぼユニゾンにするというのがある。これは弦楽器奏者からするととても迷惑。弦楽器は音程が自由であることが売りなのに、ユニゾンするとピアノの音程に合わせることになり、その良さが死んでしまう。ユニゾンの曲集は避けたい。ヴィオラの場合、伴奏楽器としても優れているので分散和音とか刻みを入れると効果的なのだが、なかなかそういう編曲はない。あと旋律だけの編曲も多いが、和音の六度重音、オクターブ重音、少し難しくなるが三度重音は使っても問題はないので難しくなりすぎない程度に使ってほしいと思う。一度、二度、七度とか使えるとかなり表現力が増すと思う。開放弦との組み合わせで重音を考えると、弦楽器をやっていない人でも考えやすいだろう。
原曲の調と違う
これは原曲のポテンシャルを引き出すためにある程度は仕方ない場合もあるが、原曲がAs-Durで書いてあるのにわざわざG-Durに変更する編曲もある。これをやると響きが明るくなりすぎて原曲の良さがなくなってしまう。クラシック音楽の作曲家は調性をかなり意識して書いており弦楽器の調性における個性を把握しない編曲はどうなのと思う。それとヴィオラはバイオリンが苦手なフラット系列の調性、例えばEs-Durはわりといい感じで響く。ヴィオラにフラット系列の調性にすると幽玄な独特の感じが出てくるのでおすすめ。
他ジャンルに媚びる必要はない
映画音楽、歌謡曲、民謡、アニメ曲、ジャズ、タンゴなど嫌いではないけども、学習観点からするとクラシック音楽として歴史的に演奏されてきた曲から選曲してくれないと勉強にならない。クラシック音楽だけで固めた本格的なヴィオラ曲集を希望したい。
と不満に思っていたのだが、ようやくまともなヴィオラ曲集が手に入れた。やはりこういうのは海外から手にいれるしかないよね。さすがベーレンライター社の曲集だけはある。他とは違う圧倒的な品質と高い教育的配慮。特に運指が素晴らしい。優れた教師が編集するとこんなに高いレベルの曲集になるのだね。高額ではあるけれども最初からこれを購入しておけばよかったと少し後悔。曲もヴィオラの特性をよく理解しており、ピアノ伴奏の和声も複雑で素晴らしい。グリーグの曲はなんかラフマニノフを予感させる複雑な和声。ラフマはグリーグを研究していたのかな?
この曲集の目玉はこの曲かな。ヴィオラ曲として完成されているね。これを目標に頑張ろう。
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