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バイオリンと解剖学(重要練習の奥の院)

 チェロとギターの室内楽の練習に付き合うために浜松まで行って来たのですが、そのお相手はクラシックギターの高崎守弘先生、40年間のウィーンで活躍されたのち浜松に移住してギターの指導をされておられます。チェロの妻は色々縁あって演奏会をやることになったらしいです。
バイオリンとチェロとギターとアンサンブルは初めてなのが新鮮。ピアノで合わせるよりもギターの方がバイオリンにはしっくりきますね。とにかくギターの音色が素晴らしく、柔らかさと強さを備えたプロらしいかっちりとした奏法でとても合わせ易すかったです。

 無償では悪いと思って近くのカレー屋さんに行きました。ここのコーヒーはフィルターを使わず紅茶のような淹れ方をしているので豆の風味をそのままに味わえる浜松で唯一のウィーン風のコーヒーを実現できているという先生のお気に入りの店とのこと。カレーは自然食材をベースにさっぱりとスパイシーに仕上がっておりこれも美味しかったです。

このお店で1時間くらいお話をさせて頂いたのですが、さすがウィーンで先生をやっておられるだけはあり、なかなか濃い話が聴けました。

本場と日本でクラシック音楽に関する基礎が全然違うと気がしましたね。特に最近日本でも少し話題になってきつつある演奏技術を解剖学ベースで考えるという練習方法には関心させられました。『指を揃えるにはどうしたら良いか』という演奏家なら突き詰めるべき課題を解剖学ベースに理解するということの重要性、腱鞘炎とかの故障を避ける練習方法とかを教えていただきました。

その私も解剖学に基づいたバイオリン練習曲集である『ドゥニスコレクション』についてご存知か尋ねてみましたが、「ああ、そういうのはウィーンでは当たり前のようにやっているよ。ただ、練習は使っている指の腱の動きだけでなく他の指に負担がかかっていないかを理解してやらないと手を痛めることになるので気をつけて」とのことでした。

今までドゥニスコレクションって禁断の練習曲という感じで眺めているだけでしたが、先生の話を聴いて興味が湧きネットを検索してみると何点か見つかりましたが、まずはこれですかね。

ドゥニスについて解説されているのは3分ぐらいのところですね。この動画を見て上級者の方なら、ポジション移動の基礎を学ぶタイミングでエクサイズとして取り入れていれば、その後の上達速度がかなり違ってくるだろうなあと実感しますよね。これこそが重要練習の奥の院ですよね。
 しかし、これだけよい動画なのに600回くらいしか再生されていないのはもったいなさすぎますね。

ちなみにドゥニスコレクションを購入すると1万円を超えるので、我こそはと思う人はIMSLPで落として練習してみてはどうですかね。

ここまでくるともはやバイオリンのボルダリングの世界!!
まさにこんな感じだなあ

ドゥニスの動画のコレクション
以下の動画は指の独立に関してレクチャ。弓を使わなくても練習できるのがいいですね。

以下の動画は部分的に取り上げた解説。それにしても恐怖のバイオリン筋トレですね。

「3 4-4-4だと!」 小指はここまで開かないぞ。エグ過ぎる。

以下の動画はドゥニスの概論のような感じでわかりやすい。長い解説がつきますが、パーティションがついているので部分的にみることができます。この先生は基礎がしっかりしてますね。ヘボな先生の解説だとビブラートをかけて解説しているものもあるのですが、ドゥニスの意図した練習にならないので注意。ノンビブラートで練習しないとね。


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