#19 ありがとう、ロクちゃん
昨日、わたしはメソメソと泣いて過ごした。
実家の猫が死んだのだ。
悲しくて苦しくて、涙が止まらない。
そう聞くと、長年かわいがってきた猫だと思われるだろう。
しかし、実際には、3日しか一緒に過ごしていない。
オムツを10回替えて、ゴハンを5回あげただけの関係。
それなのに、こんなにも辛いのはナゼなんだろう。
ロクちゃんは実家の庭で生まれ、姉妹のジューンちゃんと家に入った。
2匹とも隠れてばかりで、帰省しても姿を見たことはほとんどなかった。
実家の猫は懐っこい子もいれば臆病な子もいて、性格はバラバラ。
ロクちゃんは特に警戒心が強くて、まともに顔を見たことはなかった。
今回の帰省で、わたしは12年で初めてロクちゃんを触ることができた。
オムツを替えたり、ゴハンを食べさせたり。
本当は嫌だったかもしれないけれど、体をゆだねてくれた。
ロクちゃんは、新入り子猫のお世話をする優しい猫だった。
猫は成長が早くって、どんどん時を駆け抜けていく。
子猫だったハク君は立派な青年になり、ロクちゃんはお婆ちゃんに。
猫はかわいいけれど、別れが辛い。
たった3日を一緒に過ごしただけなのに、こんなにも悲しい。
よちよちとしか歩けなかったロクちゃんだけど、死ぬ前に全員に挨拶をして回ったらしい。
最後の力をふりしぼって、サヨナラを伝えたんだね。
ありがとう、ロクちゃん。
みんなロクちゃんが大好きだよ。
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