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支援センターより「居住の支援について」

※この記事は、社会福祉法人 京都障害者福祉センターの「法人ニュース」に掲載した、2022年度8月号の記事を転載しています。

 支援センターには「ヘルパーの空き情報です!」とか「移行支援」、「B 型事業所」を「始めました」等の宣伝や広報の FAX がちょくちょく送られてきます。
 「新しい所ができてる!」と選択肢 が増えている事をうれしく感じる一方、グループホームなど居住に関する情報が少ない現状が続いていました。しかし今年に入り、「グループホームを開設しました」という案内が続々届いています。こちらが把握している新規開所のホームは現在約8ヶ所。京都市内を始め、長岡京市、宇治市 から案内が届いています。(大阪府の事業所からは強度行動障害を対象にしているというホームの 案内もあったりします。) なぜ増えてきているのか?と考えてみたりはしましたが、理由はよく分からず…。外国人観光者 用の「ゲストハウス」として準備していたが、コロナ禍となりゲストハウスをグループホームへ、という所もあったりはしますが、それだけではないような所も多く、なぜなのかは不明です。(理由を知っている方がいましたら教えてください。)
 現在、障害者総合支援法 改正施行後3年後の見直しとして 2024 年の改正に向けて、厚生労働省の社会保障審議会 障害者部会で議論が行われています。中間整理として今後の方向性が示されており、そこではグループホームの改正についても示されています。重度障害者の受け入れ体制の強化(医療的ケア、強度行動障害、高次脳機能障害等)や一人暮らし等を希望する方にはその実現 に向けた支援を提供する点等が上げられています。今後詳しい事が検討される事になりますが、関心がある方は[厚生労働省 社会保障審議会 障害者部会]をチェックしてください!

 さて今回は住む場所について、つまり「居住の支援」についてです。 7/18(月)付けの朝日新聞に、[母子世帯支援 まず「住まい」から]という記事がありました。この記事では、名古屋市にある NPO 法人 LivEQality HUB の取組みが紹介されているので すが、シングルマザーや精神疾患を理由に不動産業者に賃貸契約を断られるといった問題から、相場より安い金額で家を提供している事、ただ低家賃だけではなく民生委員との連携や月1回訪問し 困りごとを確認している事、必要に応じて行政の窓口に同行しているといった取組み、つまり自立への伴走型の支援を行っているという内容でした。 このことは、「人情不動産」と呼ばれている岡山県の阪井ひとみさんの取組みや、6月のニュー スで取り上げた鴻巣麻里香さんの「セーフティシェアハウス」と共通する取組みになっていますが、 社会課題として充足できていないセーフティの欠如である、ということを表しています。
 日々の支援で改めて思う事は、まだまだ差別や偏見はあるのだな…という事です。 特に家探しでは「障害がある方なんですが…。あーだめですか」という不動産業者が大家に電話確認した時に出るその言葉。障害を伝える必要はあるのか?と考えるわけですが、無関心からくる 無理解があるのだなと痛感します。
 北部地域自立支援協議会ではこのような課題について数年前から取組みを行っており、京都市に おいては昨年から京都市居住支援協議会(京都市すこやか住宅ネット)で、これまで高齢者を対象 としていたところを、障害者にも拡大し、安心して家を借りられるような取り組みが始められてい ます。(関心がある方は「京都市すこやか住宅ネット」と検索ください。) 少しずつですが課題解決に向けて進んでいることをうれしく思う反面、まだまだ取り組む事が山 積している現状を前に、地域生活とは幅のある多面的な仕事であるのだな…と改めて感じています。

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