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支援センターより『考える力・想像力』

皆さん、読書はされるでしょうか?
私の好きな本で“神様のカルテ”という本があります。
今日はその中で心に残っている部分をご紹介します。
主人公の医師(栗原一止)とがん患者(國枝さん)の会話です。一部抜粋しています。


“本はよいですな、先生”
“確かに本は良いですが、肝心な時に限って、なかなか役には立ちません。國枝さんのよう に治療を引き延ばそうとする患者に対してどうすればよいか、『草枕』にだって答えは書い ていない”

“本にはね先生、「正しい答え」が書いてあるわけではありません。本が教えてくれるのは、 もっと別のことですよ。ヒトは一生のうちで一個の人生しか生きられない。しかし本は、ま た別の人生があることを我々に教えてくれる。たくさんの小説を読めばたくさんの人生を体 験できる。そうするとたくさんの人の気持ちがわかるようになる”

“たくさんの人の気持ち?”

“困っている人の話、怒っている人の話、悲しんでいる人の話、喜んでいる人の話、そうい う人の話をいっぱい読む。そうすると、少しずつだがそういう人の気持ちがわかるようにな る”

“わかると良いことがあるのですか?”

“優しい人間になれる”

“しかし今の世の中、優しいということが良いことばかりではないように思います”

“それは優しいということと、弱いということを混同しているからです。
優しさは弱さでは ない。相手が何を考えているのか、考える力を「優しさ」というのです。優しさというのは ね、想像力のことですよ”

引用文献:夏川 草介『神様のカルテ 0(ZERO)』(2017 年、小学館)


 私たちの仕事は想像力が必要な仕事だと感じています。
 対利用者、対職員、日々起こる出来事に対してたくさ んの想像力を働かせ、様々なケースに対応していくことが求められます。
 対人援助の仕事は正解を導き出すことが難しく、正解がないことも多々あります。利用者の希望に添いながら、 日々、想像力を働かせ、柔軟に対応できる力をつけていきたいものです。
 本から得られる様々な感情や価値観、また、本以外から、他者と関わる中で得られるものを大切にして、考え る力、想像力を養っていきたい…そんなことを考えました。 

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