BUCK-TICKの相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まりの意味を解説したブログを一気見。今の日本社会で表面化した問題がこの唄に込められているかも。

SIX/NINE解説9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(前編): デラシネの少年/BUCK-TICK Fan siTe

さて、S/Nの曲解説シリーズの中でも、
一つの山場だと思っているのがこの曲です。

元々はこの曲だけを紹介するつもり
(=この曲について語りたかった)
のですが、どうせなら、と軽い気持ちで
アルバム全体の解説を始めてしまったのが運の尽き・・・

こんなに長くなるとは思わなかったです。
それほど濃密な作品なんですよ、S/Nは!

前の曲が櫻井ワールド前回なら、
この曲は作詞・作曲 今井寿、純度120%の
今井ワールドです。

歌詞は、そのままの字面で捉えれば
「魚の唄」?ですが、もちろんそんなわけ無いですよね。
これにはダブルミーニングがあるということは
すぐに気がつくと思います。

ただ、それはいったい何なのか、というのは
人によって随分意見の分かれるところだと思います。

もちろん今井からの正式なステートメントがでていない以上
正解はない、つまり誰の意見もある意味では正しいし、
ある意味では間違っていると言うことになるのですが。

敢えて持論を展開させていただきます。

この曲は、今井が自分たち=BUCK-TICKの立ち位置と、
その当時の音楽シーンに対する思い・腹立ちを
歌詞に込めたのだと、自分は思います。

「游ぐ魚、游がない魚、游げる魚、游げない魚」
魚=バンド、アーティストのことです。

游ぐ魚このシーンの中で泳ぐ=シーンに乗っていく者。
游がない魚 バンドブームを嫌い、それを避けている者
游げる魚 才能ある者・バンドブームさえ利用し、
のし上がろうとする者
游げない魚 シーンに飲み込まれ、流されていってしまう者

つまり、以前のバンドブーム論でも語ったように、
まるで濁流のように押し寄せたバンドブームという
波の中に飲み込まれたアーティスト達を「魚」と
表現しているのです。

「有象無象の魑魅魍魎が跋扈する海の中のあの世界」
これは、アーティストを食い物にしようとする、
レコード会社・プロデューサー・広告代理店・
そしてマスコミ達・そしてそれらを含めた腐った
日本の音楽シーンを暗喩していますね。

「俺は1人金魚ばかりのうるさい魚群から脱け出す雑魚」

「金魚ばかりのうるさい魚群(カタマリ)」 これは当時、
BUCK-TICKのブレイクを受けて雨後の竹の子のように
現れた多くのビジュアル系バンドを皮肉っているのでしょう。

プロデューサーやレコード会社に言われるままに
キラキラと着飾って、みんなの前で愛想を振りまく姿は、
まさしく「金魚」。しかし、見せ物以上の物ではない。

そして、俺=BUCK-TICKはそんなヤツラとは違う、
好きにやらせてもらうぜ、俺たちは異端=雑魚で良い。
そういう今井の思いが込められているのだと僕は思うのです。

欲望だけか~以降は、その下らないシーンの中で踊らされ
喜んでいる勘違い野郎達を皮肉っている歌詞でしょうか。

以前バンドブームについての考察を書いてみましたが、
やはりメンバー、そして今井もシーンやレーベルに
対する不満が募っていたんでしょうね。
そして、それらからの決別を決意していたのかもしれません。

事実、このアルバムはお世辞にも「売れ線」とは言えませんし、
これで離れていったファンも多く、以後、バクチクは
所謂表舞台、雑誌の表紙を飾り、音楽番組で積極的にブロモ、
なんていうことから離れていき、メディアへの露出も
減っていくことになります。
(最終的には次作COSMOSを最後に移籍することになる)

長くなってきたので今日はここまでにします。続きはまた。
ちょっと暴走しちゃったかな・・・

「Seaside is heaven/Neverside is go 
Suicide is heaven/Newblood is go
Somebody is heaven /Nobody is go 
Six side is heaven/Nine side is go」 今井寿


SIX/NINE解説9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(後編): デラシネの少年/BUCK-TICK Fan siTe

しまった、前編のあとすぐ続きを書くつもりが、
今週はPV祭りですっかり間があいてしまった・・・

歌詞について書きたいことは前編でほぼ言い尽くしました。。
後半も、前半の解釈と同じようにバンドや音楽シーン
等に対する皮肉と取れば裏に隠された意味がわかりますね。

「向こう側で上手くやるのさ 突き抜けさあ希望の都で会おう」

「希望の都」と書いて「地獄の果て」とルビを振るセンスが、
さすが今井という感じです。

さて、もう一つこの曲の特長、それは今井が半分くらい
ボーカルを取っているということですね。
前作DTDの「Madman Blues 」も、
櫻井とのツインボーカルっぽかったですが、
この「相変わらずの・・」では担当する部分が
より多くなっていますね。

また、それまではエフェクトがかかっていたり、
調子っぱずれの声でシャウト(笑)していたりしたのですが、
この曲ではとても格好いい声を聞かせてくれています。
初めて聞いたときは、「え、これ今井さんの声!?」
と驚いた人も多いはず。クールで良い感じですよね。

「WARDS BY BUCK-TICK」という本の中に、
藤井麻輝と今井寿、そしてhideの対談という
超豪華な記事が収録されているのですが、
その中で今井の声について

S_2

藤井「声良いッスもんね」
hide「凄い好き」

と絶賛しています。
スーパーシャフト、実現して欲しかったなあ・・・

ここで自信を付けたのか、もしかしたらコレが
後の今井フルボーカル曲、
「Sid Vicious ON THE BEACH」を生み出したのかもしれません。
また、いよいよ発売される新曲「ランデヴー」でも、
かなり重要なコーラス部分を担当しているのは、
ここを見てくださっている方ならもうご存じですよね!

以上、前後編にわたって解説したこの曲。
超大作SIX/NINEの中でも、かなり異色の、
そして最高にイカス名曲です。
久しぶりにライブでやって欲しいなあ。


私の感想>今の日本社会で表面化した問題がこの唄に込められているかも。インターネットとSNSの発達で裏事情がすぐに暴露される環境もあるかもしれないけど。
ただ最近は真実だけではなくデマやフェイクニュースもすぐに拡散されてしまうので感情論だけで判断しないように心がけたいと思います。


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