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1000円のコーラ と 1000両のみかん


冷凍みかーん、冷凍みかーん、冷凍みかーん、4個入りー♪



なぜこの歌を知っているのかわからないのですが、以前どこかで耳にして、キャッチーなサビが可愛らしい歌だなぁと思いました。

ももクロちゃんあたりが、カバーしてたりしたかな、と。

たまに気付くと鼻歌でふふんっ♪と歌ってる自分がいたりします。

で、さらに気付くと夫と合唱しながら、スキップしてたりします。←

ところが、わたしの場合、歌詞が少々異なるんですけどね。


千両みかーん、千両みかーん、千両みかーん、1個だけー♪



そう!古典落語に【千両みかん】という演目があるのです。


【千両みかん】《あらすじ》
然る大家の若旦那、原因不明の病で床に伏せます。心配した大旦那が「若旦那の胸中を聞き出すように」と番頭を促します。すると、なんということでせう!
この蒸し暑い真夏に、冬の代名詞とも言える“みかん”を食べたいとおっしゃるではありませんかっ。「あゝ、みかん食べたいずらー。みかん喰えないとしんぢゃうずらー。」当時は温室での促成栽培法だなんてありませんから、季節にごとに旬の食をいただくのが当然でありました。『夏にみかん食えなきゃしんぢゃうとか言うヤツぁ、しんぢまえーーっ!』だなんて、もちろん言えるハズもない番頭は、切に訴える若旦那のために“真夏のみかん”を探しにゆきます。(あっ。サザンの『真夏の果実』って名曲は、ここからインスパイアされたのか。← ちがう)そして、奇跡的にたった1個だけ見つけたみかんを“千両”(およそ1億円!)で手にいれ、無事若旦那に届けるのですが・・・



この噺を聴くたびに思い出すのは、永井孝尚著『100円のコーラを1000円で売る方法』である。

この書籍、非常に流行ったと記憶しており、当時の働く大人ならば誰でも一度はペラペラとページをめくった覚えがあるのではなかろうか。

およそ10年を経た今でも、若いビジネスパーソンたちに愛読されているご様子。

当時、『エスキモーに氷を売る』という書籍も一緒に流行ったように思っていたけども・・・今調べて驚いた。

初版が2000年と、約20年も前のモノだ。

10年だろうと、20年だろうとビジネスの根底にあるマインドは変わらないのだなとつくづく思う。

ん!?

いやいや、20年どころか【千両みかん】という演目の元ネタは、およそ250年前の江戸時代には既に誕生していたのだ。

どんなに時間が流れて、政治や科学技術が発展したって、根幹にあるマーケティング戦略と消費者心理は変わらないのだ。

コレって、何気にスゴい!

元禄文化の裏付け最強!うぇーい♪

そして、便利な社会になればなるほど、このビジネスマインドを加速させて研ぎ澄ませてゆく必要がある・・・なんてことは、さや香が語る必要も無く。



ところで、この“大家の若旦那が臥せっちゃう系”の落語演目というのは、他にもいくつかあるのですが、そのなかでも【千両みかん】はバカ馬鹿しくて良い。

甘やかされた馬鹿凡々の滑稽さ、良いよなぁ♪ ←

他にも【擬宝珠】なんかは、グンを抜いて大好き!

“擬宝珠(神社や武道館のおつむに乗ってるあの玉ねぎ)”を舐めた過ぎて病んでしまうんですよ?!ありえます?ってか、その発想ってどこからきたの!?天才かよ!・・・っていう。

最後のサゲも、地口落ち(駄洒落オチ)にしてはとても良くできていて秀逸!



【千両みかん】のサゲは、地口落ちでは無いですが、すごくアホです。← 言い方。

でもアホだからこそ、ものすごく哲学チックです。思い切り物事の真理をついています。

あのサゲを聴いて「アホなヤツだなぁ」って笑っている人よりも、「考えさせられるわ、コレ」って真顔で言えちゃう人が居たら、確実に惚れるね! ←


それにしても、みかんをたった1個食べられないだけで病んでしまうだなんて、1億円のみかんを簡単に買ってくれるようなパパンに甘やかされた坊ちゃんは気の毒だなと思う。

現代なんて、季節問わずに我々が食せるのはもちろんのこと、“フルーツ魚”と称された鯛やブリたちが気兼ねなくパクパク食していますからね。そして、その鯛やブリをわたしたちが気兼ねなくパクパク食しますからね。時代も変わりましたよね。Neo食物連鎖!




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後日談。


わたしは、仕事上、意外と文章を読む。
それは、小説、エッセイ等多岐に渡る。

とはいえ、読むべき文章の種類をわたしが選ぶことはできない。

ところが・・・

この“1000円コーラと1000両みかん”の記事を書いた日、『繁昌亭で千両みかんを聴いた』という内容から始まる文章に、業務中にドンピシャで出会ってしまって心底驚いた。

それは、大竹文雄氏の『競争社会の歩き方』から一部抜粋された文章だった。

『あぁ。「読め」ってこと、か。』

タイムリーなネタだったので、いつも以上に嬉々として読み込んでしまった。


今年はまだ始まったばかりだというのに、去年まで以上に、“こういう引き寄せられている感や引き寄せている感”を日々の生活のいたるところで感じずにはいられない。まぁ、気のせいかもしれないけど。


少なくとも以下の2冊は再読してみようと思う。


永井孝尚著『100円のコーラを1000円で売る方法』
大竹文雄氏著『競争社会の歩き方』








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