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なんてったって【湯屋番】がサイコーなワケ。


夏の終わりに、思い掛けず【湯屋番】を拝聴できた。


以前のnote記事で「“死神荒らし”になろうかな」と記した直後に聴くことができたのが、まさかの【湯屋番】。


なになに?【湯屋番】は、まだワタシに荒らして欲しいようだね?←




嗚呼、なんてわくわくする演目なのだろう!

まくらの流れから、本題が【湯屋番】だと予測できただけで胸の高鳴りは最高潮へ。

いつ聴いてもテンションあがるっ☆

とある日の寄席の噺家は春風亭弁橋





まだお若いので、お顔や全体の雰囲気に少年っぽさが残るけども、噺の腕がとても良い。

写真で拝見しただけの印象、つまりただの先入観なのだけど、それよりもだいぶ良い意味で裏切られたなと思えるだけの素質がある。

10〜20年後に貫禄がつき始めると、なにかが練られて、一層深みのある良い噺家さんになるように思う。

未来への期待とのびしろを感じられる逸材。




好きな演目は数あれど、それでもやっぱりイチバン好きな演目は【湯屋番】でアル。


【湯屋番】だけはちょっと格別。


なぜなら、【湯屋番】は“誰も傷つかない噺”だから。





落語というものは“ブラックジョーク”の最たるもので、それが極まり昇華されて、“伝統芸能”の仲間入りを果たしている。

“伝統芸能”とは良く言ったものだが、つまるところ、演者も客も『いかに“ディスり”を楽しめるか』という精神が要される。

登場人物が誰かを小馬鹿にして笑いを取るという下卑たスタイルが主流なのである。(もちろん、人情噺はこの限りではないのだけど。)

しかしながら【湯屋番】は、基本的に誰かをディスって笑いを取る描写がほぼ無い。

“他者を貶めて取る笑い”でないところにほっこりする。

ひとりのダメ若旦那のバカバカしい妄想劇に終始する。

なんて平和なのだろう♪

そして、この若旦那のダメ人間っぷりが、自分自身と重なって憎めない。笑

そんな【湯屋番】は老若男女、どんなパーソナリティの人でも楽しめるのが良い。実にあたたかい。(風呂だけにね。え。)




しかしながら、わたしは【湯屋番】のサゲが好きでは無い。


“他人の下駄を順番に履かせて帰らせる”、お馴染みのあのサゲである。


あのサゲで面白かった気持ちが、半分くらいに萎んでしまう。取ってつけたようなサゲで、ワクワクした気持ちが薄まってしまうのが、ちょっともったいなく感じている。

ハートが“湯冷め”しちゃう。

(上手いことを言ってみたので、座布団を所望したい)

へくしょんっ。←





【湯屋番】に関しては昨夏今夏と“湯屋番旋風”(←勝手に呼んでる)が吹き荒れたときに本当に本当にたくさん聴かせていただいたし、自称“湯屋番荒らし”且つ“湯屋番コレクター”なので、たくさんの噺家の【湯屋番】をもうゴリっと丸ごと愛しく尊く思っているのだけれど、そのなかでもイチバン好きなのは、やっぱり柳亭小痴楽氏の【湯屋番】



もう、グンを抜いて好き。

好きすぎて、鼻血出る。←



もちろん、他にも上手く演られる噺家さんはたくさんいらっしゃる。

あの人の湯屋番も、この人の湯屋番もどれもこれも最高だと思う。




それでも、小痴楽師匠の【湯屋番】が好きなのは以下の3つの理由による。

1. 初めて拝聴した【湯屋番】が、小痴楽氏の高座だったから。
(生まれたばかりのヒナが初めてみた者を親だと思う心理)

2.“ダメな若旦那っぷり”が板についているから。(圧倒的なキャラ勝ち)


そして、なにより・・・

3.小痴楽氏の【湯屋番】のサゲが一番面白いから!


そう、小痴楽氏の【湯屋番】のサゲは、彼のオリジナルのサゲなのだ。

彼の演る【湯屋番】のサゲが、一番あの噺の内容に馴染んでいる。

取ってつけた感もなければ、ぶった斬った感もなく、つまらない地口落ちというワケでもなく、ホントに自然なのだ。

「おっ!上手いねっ」とか「ニクいねっ」って返したくなるようなサゲ。

何よりも若旦那の妄想でワキワキほっこりさせられたハートが湯冷めしない♪


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東京もうっすら肌寒さを覚える季節になりつつありますね。

あぁ。

今年の【湯屋番】の季節もそろそろ終わりを迎えつつあるのかなぁ。

ちょっぴり寂しい。

でも、最近は【初天神】が一年中かかるから、【湯屋番】も1年中途切れることなくかかっていて欲しいなぁ。


季節の変わり目、皆様お身体ご自愛くださいませね☆


あぁ、明日もどこかで【湯屋番】かからないかなーー♪










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