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越えたのは今。その先の未来は見えた? ――シャニマス4thライブ『空は済み、今を越えて。』で観た景色――


 想像を裏切ってくれなかったライブ2日目を、自分はどう受け止め、何を思い、それをただ内に秘めておくだけでいいのか。
 ライブの配信アーカイブを通しで見直す前に、現地2日間参加で生まれた今回の想いを、きちんと整理して書き残しておきたい。

 書いているのは、シャニマスライブLV配信込みで全通P(現地は3rd名古屋等一部のみ)。兼任他マスP(デレP歴9年、現地複数回全ライブ円盤所持。ミリとSideMはつまみ食い程度)。アニメコンテンツライブや声優ライブ回数はそれなりにあり。
 前半はライブレポ&感想。後半は演出面を中心とした感想となります。
 文中に出てくるセットリスト等はアイマスDB(https://imas-db.jp/)様を参照。いつもお世話になっております。

Day1

開演前

開場前は周辺の散歩。少し暑いくらいの好天に恵まれ、ライブタイトル通りの澄み渡った空に期待を膨らませる。
 16時前に入場。今回の展示場1-3ホールはまったくの初めてなので、入場動線も新鮮(イベントホールと9-11ホールは経験あり)。
 座席とステージ配置を確認。横長タイプのメインステージと、そこから花道が伸びて、BブロックとCブロックの間にやや小さなセンターステージ。上手下手両側に、大きめのサイドステージ。演者の移動はどうするのかなと思ったら、センターステージとサイドステージの間の床に敷かれたバカでかいレールに気づく。あっこれはセンターステージ可動式だと察して震える。
 座席はD13ブロック。横位置はセンターステージ上手端、縦位置はセンターステージから20m弱くらいか。展示ホール名物の柱の影響も(この時点では)なく、番号で想像していたより当たり席っぽく見える。しかも通路際だったので、ペンライトも振りやすい。
 開演前動画は既にアイマス公式チャンネルで見ていたものばかりだけど、ひとみんのイラストとわかさまの大声チャレンジは「これええんか?初見さんのイメージ崩れるんちゃうか?」と余計な心配をしながら爆笑。

オープニング~全体曲~挨拶

 会場暗転。社長とはづきさんの注意事項が終わり、ホール内正面左右の計3面全体に照明と豆電球が灯る。全周を囲まれ星空の中にいるような没頭感に、3rdライブからの継承と進化を感じる。
 メインステージに演者が並んで始まったSpread the Wings!!。後半に全員が花道を歩き出し、座席ガチャ勝利を確信。そのままセンターステージで始まったAmbitious Eve(少し予想外の選曲)に久々だなと思っていたら、まさかのセンターステージが二分割され、左右両方向に同時にスライドし始める。ステージ移動までは推測していたが、分割式とは想像もしていなかったため度肝を抜かれる。
 演者挨拶はセンターステージからCブロック方向を向いて。つまりほぼ自分の真正面。表情は見えないが、髪型や衣装で区別は簡単に出来るくらいの距離感=大型ライブとしては間違いなく当たり席。また、希水しおさん挨拶時の拍手の大きさはまさしく会場全体が鳴り響いて包まれるようだったし、自分も手が痛くなるまで力いっぱい拍手した。

アンティーカ

abyss of conflict。奥のモニターで天井カメラや額縁演出をしているのを視界に入れつつ、まるで深海から浮かび上がろうとするかのようなイントロのダンスパフォーマンス。ユニット一発目の曲を近くで、生で見られることに大興奮。また、久々のフルメンアンティーカは圧力が違う。妖しさに特化した魅力を存分に味わった。
 革命進化論はメインステージのため演者はほぼ見えずモニターで。それでも、生歌の激しさと、abyssと対を成すような荒ぶる照明演出は堪能。

ストレイライト

Another Rampage。手紙演出で出番なのは分かっているので、暗転して立ち上がり、さぁどこから来るかと見回す。イントロでぶち上がり、モニター見て、周囲を見て。なるほど上手サイドステージ……柱が邪魔!! ステージ中央とE側が柱で隠れ、A側がかろうじて見えるも、単純に遠いのでそこの演者も見づらい。とはいえ生歌&クソデカサウンド&荒ぶる照明とペンラの海で、テンション上がって踊り狂う。
 終盤の高速トロッコ。アーカイブだと高速感足りねぇなと思うくらいに、現地では高速だった。歌い上げながら視界を水平に横切っていくストレイの3人。体感一瞬で視界に入り消えていくその様子に、曲中なのに声を出さずに大爆笑してしまった。これこそ現地の醍醐味。トロッコはステージから遠くの席に、じっくり演者の姿を見せるための物。そんな固定概念を捨て去る不意打ち、あまりに面白すぎた。
  Timeless Shooting Star。こっちはステージの様子は見えるけど、距離ありすぎて演者豆粒(D13からだと、メインステージより下手側サイドステージの方が遠い)。とはいえここまで遠いとパフォーマンスはアーカイブで見りゃいい、音と光の体感を楽しもうと割り切って踊り狂えたので勝ち。ありがとう通路席。

Killer×Mission

 何も分からん(グレフェスしないので聞いてない)&何も見えん(下手ステなので前述の通り)。初見ですぐにノれてしまうcomic cosmic精神を発揮するには至らず。CDも日曜購入予定だったので、音と声がカッコいいなぁ程度。

アルストロメリア

 パステルカラーパスカラカラー。メインステージ。前ブロックでだいぶ体力使ったので、癒しタイムで傍観気味。
 ラブ・ボナペティ―トはセンターステージなのでかなり近い。3人真正面向きではなくサイド2人がちょい斜め向きだったのを記憶。なにげにダンス激しいなという思いと、真横から見るダンシングほのけの脚が、アスリートみたいな引き締まり方をしていたのをはっきり記憶している。

シーズ

 上手サイドステージ。3rd福岡初日以来の生OH MY GODに震えるも、ストレイ1曲目と同じくステージはほぼ何も見えず。とはいえシーズは音と光だけで十分楽しめるのでヨシ。
 Fly and Flyは初なので大興奮。シャニラジで言ってたイントロの「You have to... Ready to go!(SHHis!)」のSHHis!をP側が叫ぶやつ、いつ出来るようになるかなぁ。歌については紫月さんの成長をとにかく感じた。クリパに比べて、後半も勢いを維持してラストのにちか砲パートに繋げていたように思う。中盤、ステージのスライド移動が始まった時はセンターまで来るか!?と期待したけど、途中から上手側に戻っていったのにはまた爆笑。そこ戻るんかい!!

イルミネーションスターズ

 下手サイドのため見えず。灯織の音源、もしかして新録?と思ったけど、さすがに考えすぎだったようだ。レコーディング時のソロ音源だろうね。スマイルシンフォニアのトロッコがC-Dブロック間通路だったので、ひとみんとだまゆを間近で見上げることに。ひとみんの美少女力とだまゆの笑顔よ。ここが高速トロッコじゃなくて良かった。

Secret utopIA

 完全初見。この後のMCで、オタクの代弁をするほのけはさすが。「キュートややさん好きになっちゃう」の振りに「私も好きだよ」と美琴ボイスで即答するややさん。崩れ落ちました。そういうとこやぞ。

ノクチル

 僕らだけの未来の空。両サイドステージから二人ずつが移動してきてセンターで合体!? スケールの大きさに驚く。上手側からは円香小糸。円香!? だんだんと近づくにつれもはやしんどくなる。ちゃんりお……。正直曲の記憶があまり残ってない。樋口円香は人生を狂わせる。
 今しかない瞬間を。出たな花道カメラ演出。雛菜のアピール強い。ノクチル、ユニットとしてのブレない安定感を一番強く感じるかもしれない。

放課後クライマックスガールズ

 クライマックスアイランド。センターステージなので距離は近いけれど、5人→3人の物足りなさはどうしても否定できず。拝啓タイムカプセルも同様。事情が事情とはいえ、寂しい。

相合学舎

 ここも完全初見。ユニットコラボ曲の中で、一番歌詞が何も聞き取れなかったけど、一番ダンスが目と頭に入ってきた。サビの振りコピが楽しすぎて途中からやっていたのが、まさか翌日活きてこようとは。ライブ終了後の今では、かなりのスルメ曲として認識を改めている。

告知~アンコール&MC

 相合学舎後の暗転は本当に現地???だったからね。アンコールMCの雰囲気からして予定通りだったんだろうけど、あそこの入りは最大のマイナス。アンケにお気持ち書きます。
  Resonance⁺。3rdツアーで聴きまくっただけに、ここでやるのかと少し意外。1st衣装でやるのはまぁエモポイント認定できなくもないか。
 シャイノグラフィ。センターステージ分割&移動式だったので、落ち着いてパフォーマンス見るような形にはならず。とはいえ最強全体曲(私見)なので、やはり生で聴けるプラス要素は大きい。
 虹の行方。駆け込みで聴き込んできた甲斐あって、存分にライブの〆を楽しんだ。まさかの7色紙吹雪打ちには感動。単純で古典的とはいえ、視覚に訴える強さがある。テープかと思ったら紙吹雪だったのは、ご時世柄、争奪戦を警戒してのことだろうか。

DAY1→DAY2

 終演からの規制退場後、ライブは翌日のみ参戦の前日入り地方Pと合流。ネタバレ気にしない人なので、居酒屋にて存分に初日の感想を一方的に語る。
 内容を大雑把にまとめると、

・横長かつ平面の空間の不利を極限まで減らす、4ステージ+センターステージ可動式+トロッコ+大量モニターの物理的演出力が本当に凄い。金掛け過ぎ。
・照明演出もバカみたいに力と金が入っていて強すぎ。一方、3rdの惑星みたいな装飾はほとんど無かったのが意外。舞台上がシンプルすぎる。
・手紙は現地だとエモいぞ。現地だと。
・ステージ間の移動等のギミックの負担が大きすぎて、明日(Day2)セトリや演出の変更が出来そうに思えない。あまりにギミックが初見殺しに寄り過ぎている。この心配を裏切ってくれるのがアイマスだと信じている。

 相手のPが中の人や楽曲よりも演出を観るタイプなので、自然と感想もそちら寄りに。
 翌日に期待と不安を抱いて解散。幕張から千葉の宿に移動して寝落ち。

DAY2

開演前

 CD販売整理券の時間が10時半~だったので、少し早めにチェックアウトして現地へ移動。天気が雨予報も幸い昼頃までは降らずに持ちこたえ、トータル30分ほどの待機時間でCD3種類購入。デレファイナルの限定CDより圧倒的に早い。持て余した時間は、4月19連勤のせいで全く触れてなかったアニメ新番の消化に充てる。
 昼過ぎに地方Pと合流してイオンでメシ&時間潰し。中3週間だから、どうしてもデレファイナルと比べちゃって怖いなーという雑談(二人ともデレ10thファイナル両日現地参加)。あと、セカオワとマキシマムザホルモンが同じ幕張でライブやってて帰りやべーかもなHAHAHAというフラグ立て。
 16時過ぎに入場。前日と同じ12分押しアナウンスには落胆。2日目なんだから改善せいという思いと、時間ギリギリまで入場しないお行儀の良くない連中の多さに若干テンション落ちる。
 座席はA9。中央寄りの最前ブロックという神席のはずが、昨日の演出そのままだったらせいぜい良席止まりだな、と座席発表時よりははるかに落ち着いたテンション。とはいえメインステージ曲はほんの10mくらいの距離感なので、贅沢の上乗せ言わずに楽しむしかない。

オープニング~全体曲~挨拶

 開幕Dye the sky.!?これにはさすがに自分も会場もどよめく。座席位置はシーズの真正面だったので、美しいややキックを拝むことに成功。花道歩いてセンターに向かう場面、全員が前だけ向いてファンサもせず歩くのは、曲的に解釈一致。
 2曲目Color Days。この曲はセンターステージがスライド移動するが、演者はABブロック側とCDブロック側両方を向くので、ちゃんと正面からダンスを楽しめた。1曲目でこわばった体をほぐすようなアップナンバーありがてぇ。
 挨拶中はアイドルの背中オンリーだけど、去り際ファンサ受けられるのがAB側中央寄りの最大メリット。かりりんのファンサ力は相変わらず反則級だな。

アルストロメリア

 パスパス、メインステージでほぼ目の前。アルストって見た目や曲の印象よりよっぽどダンス激しいよな、というのは現地参加の度に永久に言い続けると思う。

シーズ

 初日と違い柱の影響はないものの、単純に距離が遠い。サイドの演出用モニター&ライティング演出が良く見えたので、巨大ライブハウス幕張メッセのノリで踊り狂う。メインステージ脇の主スピーカーから出る重低音がAブロックに直接響いてきて、低音で内臓が震え続ける感覚を味わう。姿は見えなくても、この音の体験はオイシイ。

イルミネ

 2日目は下手側サイドが柱の影響大。AB寄りが見えて、ステージ中央はまぁどうにかといったところ。モニター見つつ静かに楽しむ。

ノクチル

 花道ウォーキング、向かってくる側の斜め位置から見ると意外と一瞬なんだな……。
 今しかない瞬間を、がメインステージなのでかなり近い。えっ近くで見るとショート和久井優あまりにも浅倉透そのものじゃん。横の雛菜=岡咲美保の、大きいながらもキメるところをキメるダンスに対して、絶妙にゆるゆるするキメきらないダンス。この微妙すぎる違いが、そのまま浅倉透っぽさとして浮かんでくる。沼に落ちそう。

放課後クライマックスガールズ

 4人になると、受け取る"放クラらしさ"が一気に大きくなったように感じる。衣装以上にダンスの個性の違いが際立っているから、背中だけずっと見てても飽きることがない。メインステージでの拝啓タイムカプセルで無事号泣。

相合学舎

 メインステージなので目の前披露。昨日学んだサビ振りコピを楽しんでたら、MCで「やってくれてありがとー!」と言及されたのでまた泣く。前日と違ってMCパートで間奏の寸劇(枕投げ)について解説してくれたのもありがたい。

アンティーカ

 ほぼ全編背中を見続けた、センターステージでのabyss of conflict。アンティーカは放クラと違い、動きの個性で見分けるというよりは、単純にシルエットで見分けているかもしれない。それぞれから違ったダークなオーラが出ていて、それが一つにまとまって形になっているような。あと単純に、アンティーカの気合入りまくりゴシック衣装を、普段見られない背面からずっと見ていること自体が楽しい。
 革命進化論はメインステージで目の前だし曲強いしで圧倒されっぱなし。印象的だったのはフォーメーションチェンジ。かりりんセンターは動かないのに、両端のアンちゃんと千紗が気づいたら入れ替わっていて、また気づいたら逆に戻っていて。あんな激しいパフォーマンス中にどう位置を変えているのか。ちゃんとアーカイブで確認したい。

ストレイライト

 初日ほどトロッコに高速感が無かったのは、2度目で心構えが出来ていたせいなんだろうなぁ。
 TSSのモニター演出を初めてちゃんと見たので、サビのモニター"Timeless Shooting Star"大写しにはダサさとイカした興奮を同時に味わえて最高にブチ上がった。

告知~アンコール&MC

 シーズ新シナリオはいいけど、情報少ないな……と思っていたところに出された対バンライブ告知。同事務所でのユニット対抗を"対バン"と表記することに疑問はあるけど、今の時点では楽しみ7不安3くらい。まぁ現地行けなくても配信は確実に見る。
 Multicolored Sky。メインステージでまさかのわちゃわちゃ!? ファンサするすずもんながどん……わちゃわちゃストレイ……ありがてぇ、ありがてぇ……。
 いつか Shiny Days。終わりが近いことが分かっているのでクールダウンタイム。
 MC。やっと希水しおさんの生の声が聴けた。フォローするアンちゃん、ハグするかりりん、上向いて涙こらえてる千紗とみー。生で見せてくれてありがとうございます。
 ラスト、Daybreak Age。ゼロズレ正面のシーズばかり見ていました。歌割り上、歌っていない時間が意外と長いのだけど、その間のダンスもカッコよく仕上がっていて良い。引き固定カメラで1曲通して観たいわ。間奏の「Hey Hey」「Yeah」部分でのペンラ振りが意外と周りやってなかったので、初披露ならこんなもんか?とも思ったり。
 終演。さすがに今回はサプライズ無し。2日目も規制退場は後の方だったけど、近くの駐車場まで順調に退避して幕張脱出。ちょうど海浜幕張駅は入場制限掛かっていたそうで、今回車を選んで大正解だった。バンナムフェスにも活かそう。

 以上、2日間のレポ部分でした。

4thライブは何を越えた?

 2日間のライブ現地参加を一言にまとめると、
「両日参加は初日超最高、2日目は凡庸」。

 幕張メッセ展示ホール1-3という、大型ライブ向きとは到底言えない会場を使わざるを得ないシチュエーション。横長(縦長)に広く平面で、邪魔な柱があり、ステージを見ることが難しい場所が多すぎる。また、本来展示会場なので音響も良いとは言えない。その状況下にあって、いかにハズレ席を減らすか。出来る限り均等に、演者のパフォーマンスと会場の演出を届けるか。これを最大の課題として向かい合ったのが、4thライブだったように思う。
 大量の電飾。8面のカメラ映像モニターと、3面の演出用モニター。メイン・センター・両サイドの4ステージ。そして、可動式センターステージとトロッコ。平面ならば平面を、広く大きくカバー出来るように。メインと花道・センターだけのステージ構成にするより、はるかにスケールが大きく、はるかに予算がつぎ込まれただろうなと感じる作りだった。
 おそらく、幕張メッセ1-3ホールをこのように大胆に使ったライブイベントは、史上初ではないだろうか。それだけスケールの大きさを感じたし、「ハズレ席だと思ったら目の前にいた」という体験をしたPは数多くいたはずだ。どんなライブになるのだろう、と思って来場した初日は、運営が意図した通りであろう驚きと興奮、楽しさを得ることが出来た。

 演出のハード面は素晴らしかった。ではソフト面は?

 演出について仮に(勝手に)定義するなら、ハード面は会場・ステージ等の物理的な要素。ソフト面はセットリスト・モニター映像・曲間の演出(4thで言えば手紙)となるだろう。
 アイドルマスター公式サイトや、各種レポにおけるセトリを見れば分かるように、初日・2日目の違いは全体曲5曲の総入れ替え(計10曲)と、各ユニットの出演順の入れ替え。
 ユニットに関しては、アンティーカ×ストレイ、アルスト×シーズ×イルミネ、ノクチル×放クラというコラボ曲の組み分けを、それぞれ1ブロックとしていた。ユニット曲はL@YERED WINGの2曲で固定であり曲順入れ替えもなく、またブロック内でのユニット順序入れ替えもなかった。

 両日参加者にとって、2日目のセットリストと演出は、あまりにも新鮮味が無い。

 初日終演後の居酒屋で、私は地方P相手にボヤいた。
「本当に凄いステージだった。よくここまで大掛かりなステージ設備を用意した。
でも、だ。じゃあ明日、違うことをやる余裕はあるか?
あまりに複雑な動線と可動設備。演者だけじゃない、スタッフの負担も大きいことが伝わってくる。
ただでさえ3rd名古屋でやらかしているんだ。今日と同じことをやるのが精いっぱいじゃないのか?
シャイニーカラーズはこの心配を、きちんと裏切ってくれるんだろうか。
俺の平凡で、常識的な、つまらない想像を、はるか超えて羽ばたく姿を見せてくれるのか?」

 結果は、悪い方の予想通り。初日に見えていた限界は、本当の限界だったらしい。
 常識的に考えれば、それはそうだ。この規模の大型ライブ2Daysで、セトリから演出から大きく組み替えて、両日参加して両日ともに新鮮な驚きを提供するなんて。
 そんなことが出来るはずが――――

 俺は3週間前に、ベルーナドームで見てしまっている。
 
 アイドルマスターシンデレラガールズ10thライブファイナル"M@GICAL WONDERLAND TOUR!!!"。
 出演者から演出面までオールシークレット。発表時に賛否両論を呼んだこの公演は、初日49名、2日目58名が出演。セットリストは各日50曲計100曲を被り無しで披露(お願いシンデレラを除く)。デレマス10周年を記念するライブツアーの総決算であり、到達点であり、運営側からして「空前絶後の規模」と言わしめたライブだ。
 次は誰が、何の曲が出てくるんだろう。この後は何を見せてくれるんだろう。最後の1曲まで、その興味と興奮が尽きることがない、全てが"初見の衝撃"で構成されたライブだった。

 10周年を迎えた先輩コンテンツと、この4周年で過去を振り返り、未来を見据えて新たなスタートにしようとする後輩コンテンツ。
 この二つを比べることに、意味は無いのかもしれない。
 ならば、シャニマスライブの枠の中だけで見たらどうだろうか。

 1st、サマパ、MD、2nd、クリパ、4thにおいて、ユニット曲はそれぞれが2曲を連続で披露。
 2日間公演においては、MDは4曲、2ndは3曲。それ以外では固定の2曲で入れ替え無し(ストレイやノクチルの、参加時点での曲不足は考慮しない)。
 3rdの3会場×2Days、計6公演においては、ユニット曲はGR@DATE WINGの2曲とし、歌唱順と演出は完全固定。1ユニットが連続2曲ではないにしろ、ツアーの間に変更が加わることはなかった(シーズを除く)。

 周年ライブにおけるユニット曲の扱いが固定的で、結果、新鮮味を薄れさせているのではないか?
 新曲だったら、新ユニットだったら新鮮・斬新なのではない。選曲や演出を含めた新鮮味・斬新さを求めているのだ。 
 それこそが、運営側が周年ライブで提示するべき、コンテンツの進歩ではないだろうか。

 4thライブは、283プロの七色のユニットが揃ってから行われる、初めての周年ライブだった。
 2021~2022年の広告ラッシュやコラボラッシュで獲得した新規P=ライブ初見Pにとっては、現地でも配信でも"見やすい"ライブだったように思うし、2公演の片方だけ見れば十分というのは時間にも財布にも優しいだろう。
 逆に既にライブに参加したことのあるPにとっては、1stの円陣の再現や、ノクチルやシーズを含めたビヨンドザブルースカイでの歌唱は、強く琴線に訴えかける演出だったことだろう。

 とある情熱的P(地方Pとは別人)が、「演者に1stを振り返らせてエモがらせるのもいいけど、違う形で成長を見せてくれ。演者の成長を見るのが好きでPやってるんだ」と言っていた。
 普段マイナスなことを口にしないこのPの言葉に、強く同意したい。
 1stと同じことをやって、そこと比較して"成長した"。違うんだ、そうじゃないんだ。

 新たなスタート地点としての4thライブは、一度立ち止まり、足元を固めるためのライブだった。
 今を越えた先の未来を見せるのではない。越える基準点としての"今"を示すライブ。そう解釈するのが一番穏当な表現だと、今の自分は考えている。

 その解釈は、自分がアイドルマスターのナンバリングライブに求めているものでは、決してないのだけれども。

シャイニーカラーズのライブの未来は

 今を越えた先にあるものとして、シャニマス単独としての直近は、8月・10月のユニット対バンライブ。
 会場は東京ガーデンシアターと武蔵の森総合スポーツプラザ。前者は完全にライブ向けの、後者は幕張の展示ホールよりはるかにライブ向けの多目的アリーナであり、どちらもキャパは8千を超える大型会場だ。今回のステージのように奇をてらった作りにせずとも、メインステージ(+あって花道&センターか)だけのシンプルなハード設計になるだろう。
 その時、演出のソフト面はどうなるのか。
 ユニットごとに2~3曲をまとまって披露。2日間で曲変更は無し、あっても1曲。ユニット交代時に良い意味での対抗心を煽るようなムービー挿入。ラストは全体曲。
 私程度が想像できる、凡庸な型通りの構成にならないことを、強く、強く願っている。

 そして、あるかどうかも今は分からない、5thライブ。
 今から1年間のシャイニーカラーズの活動と対バンライブを踏まえて、4thからどれだけの進化を見せてくれるのか。
 自分自身も他コンテンツも飛び越える、全てにおいて圧倒的なライブを見せて欲しい。それがアイドルマスターだと信じているから。


 


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