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はじめに

 30年エンタメ業界の最前線で仕事をさせていただきながら、好きな旅行やエンタテインメントをいろいろと経験してきました。出張もふくめ、実に様々な場所や出来事を楽しませてもらってきましたが、中でも特に印象に残ったものを自分の備忘録としてここに書き残し、皆さんが行ったり楽しんだりするのに役に立ちそうな情報を少しでも残せればと思います。

  写真は、昨年プライベートな旅行で行った中国・敦煌にある莫高窟デジタルセンターの建物です。鳴沙山をイメージさせる砂漠イメージの建物は実に立派かつ最新の美しさ。敦煌は中国の観光ブームを反映して、すっかり一大観光都市となっていました。自分が子供時代にみたNHK特集のシルクロードの秘境イメージがずっと残っていましたが、今は昔。すっかり「石窟テーマパーク」の様相を呈しておりました。秘境を求めた旅をする人にとっては少し興醒めな状態かもしれませんが、たくさんの人がアクセスしやすくなっているのも確かです。ただ、ルールが細かく定められているのでもし行くときにはそのルールを予習しておかないと、あとで後悔することになります。

 ぶらっと莫高窟に行っても、中には入れません。街中のチケットセンターや旅行代理店で事前にチケットを予約して買った上で、写真の最新設備のデジタルセンターで20分×2本の短編映画を、ディズニーランドの全天型シアターのような設備で見たうえで、そこから大型バスで15分ほど移動して、莫高窟に初めてたどり着けるのです。このプロセスをすっ飛ばして莫高窟の中には入れないのです。日本語の音声ガイドもばっちりなので心配はいりませんが、敦煌の歴史と莫高窟の解説の2つの映像を見たうえで現場に行くというこの強制システムは我々自由気ままに観光することになれた身には驚きのシステムです。

 もうひとつ、驚きのシステムがあります。石窟の見学には、ABC3つのチケットが存在します。石窟は、重要かつ保存に最新の注意が払われている特別窟と、そうでない一般窟に分類されています。

 Aチケットは、当然どちらも見ることができる権利が付与されているのですが、特別窟を見るには一つずつしかも一人ずつ別料金が加算されていくという、恐ろしいシステムとなっているのです。(2019年の夏は一窟一人150元~200元でしたが、何と2020年7月1日からは300元~500元になるとのサイト情報も見ました。)6つくらいの石窟を見る権利が与えられているのですが、権利を全て行使するとちょっとした旅行に行けてしまうくらいの予算を使い果たすことになります。去年の感覚でいうと、家族3人で一窟見て9000円みたいな感じでした。Bチケットは4窟、Cチケットに至っては本物の石窟見ず、映像見学ということになっているそうです。確かにハイシーズン一日3万人の観光客を捌き、遺跡の保護という大命題と向き合うためには、こうせざるをえないのかもしれません。特別窟の見学はお値段的にも贅沢であることは間違いありませんが、日本語堪能な莫高窟専任ガイドの方が、同行者数人のためだけに鍵を開けて、丁寧にひとつひとつの画像を懐中電灯で照らしながら解説してくれるという体験は価値あるものだと感じます。有名な45窟も独り占めしている気分になれます。地獄の沙汰も金次第と申しますが、石窟の極楽も同じであります。日本と違う観光システム、今年もまた変更になっているそうなので、最新情報をチェックしてお出かけください。

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