J-WAVEに行きたいだけなのです①

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
おかげさまでフォロワー様も８０を超え、気づけば担当さんから
「村が一冬越せる」だけのお米をいただける日も近いかもしれません。

さて、ここで前の記事のタイトルを今一度見返してみました。
「印税①」と書いてあります。①です。
SNSでも「これから印税編に入ります」とか言っています。
ところが②はありませんでした。
印税にまつわる話は「でかいエビのゴミを持ち帰り味噌汁にして食った話」この一記事であっけなく終了してしまいました。
宵越しの銭と記事を持たせない、印税の江戸っ子気質には困ったものです。

いい機会ですので、ここで基本に立ち還ってみます。
このnoteは「小説家デビューしたのに次の本が出せない人間」についてあれこれ記録すべく始めました。

「デビューしっぱなし作家」は一体何をして生活しているの？年収がヤバすぎて話題に？彼女や両親の職業は？整形疑惑の真相は？この手の情報ゼロまとめサイトが儲かるってホント？担当さん知ってる？あれ？担当さんが電話に出ない？もしもし？見切り付けられた？終わりか？俺はもう終わりか？もうとかじゃなくてすでに終わってると話題に？嘘だろ？あ、もしもし担当さんですか？全然電話出ないじゃないですか？今電話少し大丈夫ですか？会議中？了解です。早速、正気に戻ってみました！

ということで正気に戻りました。

何をして生活しているのか。
僕は放送作家事務所に所属しているので、放送作家です。
肩書きの根拠を所属云々に求めている時点でアレですが、まあ名刺にもそう書いてありますし、そこんところ勘弁してください。
では、放送作家とはどんなお仕事なのでしょうか。
「職務内容は多岐にわたりますが、大雑把に言えばテレビやラジオやイベントといったのを、より多くの人に楽しんでもらうべく、内容を緻密に組み立て、台本を書く仕事が主たるものです。この作業を『構成』と言います。構成作家と呼ばれたりもします、もういいすか？」
今ほど後輩の放送作家がそう教えてくれました。彼もまた会議中でした。

つまり放送作家とは企画全体を見通し、間違っても見切り発車で「印税①」「印税編に入ります」なんて書かない人たちとも言えますし、名刺に放送作家と書いてある人たちとも言えます。（危うく自分で自分を放送作家から除外するところでした。これだから正気は嫌なのです）

ところが小説家デビュー後、ありがたいことにそんな僕にも「構成作家」のお仕事が新たに舞い込みました。ここで初めて申し上げますが僕は放送作家事務所に所属しておきながら「構成作家」としてお声がかかったのは、ほぼこれが初めてだったのです。小説家デビューが先で放送作家デビューが後というこれまた構成がちぐはぐなキャリアの積み方をしております。

そして、お声がかかったのはJ-WAVEの番組でありました。

J-WAVE。間違っても「ラジネーム：陰毛食べ太郎」から始まるようなメールは届かない、読まれない、何と申しますか「鼓膜にドレスコードが必要なんじゃないか」と思わせるだけの眩いプログラムが目白押しの放送局でございます。なにゆえ僕にお声をかけてくれたのかわかりませんが、とにかくありがたい限りです。

六本木ヒルズじゃ5分で肺がガラス張りになる。

場所は六本木ヒルズの３３階。
漢字で書けば「摩天楼」、英語で言えば「Not Hidakaya」です。
最初の打ち合わせのため、久方ぶりに六本木へ向かいます。
待ち合わせは15時。到着したのは13時でした。
真面目だからではありません。前乗りです。
ヒルズ周辺の空気に慣れておく必要があると踏んだのです。

憶測どおり。
駅からヒルズ前に到着する頃、さっそく輪郭が痒くなり始めました。
肌というか輪郭がむず痒くなるのです。霜焼けと同じです。
やはりエビ殻をジップロックしているような奴にとって、（『小説すばる』にも書かきましたが）高一の時に買ったバッタ色ジャージを未だに着ているような奴にとって、ヒルズ周りはナウシカで言う所の「逆腐海」でした。
５分で肺がガラス張りになりそうだったのです。

バターになるまでヒルズ周りを歩こうかとも思いましたが、
ふと「マクドナルドこの先５０m」という案内板が目に入りました。
不意の安心感。ウーピーゴールドバーグに抱きしめられたかと思いました。
当時の日記にも「千尋がハクからおにぎりをもらった時と同じ安心感を覚える」とちゃんと書いてあります。ジブリで例えすぎですね。
もう二度と例えません。

しかし僕はここからヒルズはおろかマクドナルドにも辿り着けず、気づけばラピュタのような庭園にいたのです。わずか二行も保たずジブリ例えが出てしまったので、ここで一度区切り、続きは次章で書かせていただきます。

大丈夫です。僕はもう構成作家です。
今回はちゃんと「その②」があります。
問題は「マクドナルドにいくだけの話」で引っ張ろうとする構成がそもそもいかがなものか、ということくらいです。お米が遠のくかもしれません。
とりあえずサムネイル画像を担当さんが好きそうな可愛らしい猫ちゃんにしようと思います。