先生、切った骨頭くれへんやろか。
手術前の最終診察である。
私は執刀担当医師に次のようなことを話した。
「せんせ、あんな、骨頭あるやろ、俺の骨頭。もう使い物にならへんのやろ。やったら、どうやろか、俺に切り取った骨頭、くれへんやろか。いやちゃうねん、何もけったいなことに使おう思てんのとちゃうよ、いうとくけど。みくびられたら困るわ。そうやなくて、まずな、骨頭をな、こうラスカルみたく肩に乗せてな、思い出の場所めぐって、お礼を言いたいねん。お前がいなかったらこの段差もあの段差も越えられなかった、お前がいなかったら、