見出し画像

⑱キャメルキャラメル~コンサート~

ヴォーカル、ツボ君ののども完治し、僕達キャメルキャラメルはホールコンサートをすることを決意した。はっきりと覚えていないが500~600人規模だったと思う。

いちからコンサートを企画したのはこの時が初めてかもしれない。
集客予定人数、経費(ホール代金、PA代、照明代、チケット・パンフレット制作代金他…)などを計算してどうするか決めていく。
1枚のチケット代金は抑えたいが、経費との兼ね合いもある。
勿論、コンサート内容も考えないといけないし、練習もしなければいけない。
ひとつのコンサートをするのは大変だなと改めて思った。
さいわい、その頃には協力してくる先輩たちがたくさんいた。
構成・演出にはUさんとS君に頼んだ。照明はSユニオンのUさん。Uさんは照明が本職、プロのアーティストも手掛けていて地元で音楽している人はUさんに照明をしてもらうことを願っていた。
とにかく熱い。厳しかったけど。「なんだぁ!、そのシールドの巻き方はぁ!そんなことも知らんのかぁ!!」とトンカチが飛んできたこともあったらしい。
でも厳しくて口は悪かったけど、みんなを育てようとしてくれる優しさが滲み出ていた。だから多くの人が「Uさん、照明してください」と頼みにいった。
こういうおじさんは今あまり見ない。
貴重な存在だったなと改めて思う。

Uさんは、照明だけでなく、僕達の為にコンサートの台本を書いてくれた。
「こういうふうに作っていくのか」と台本を見せてもらって初めて知った。
開演を知らせるブザーの音をやめ、その替わりに鐘の音を鳴らしたり、[ラストフライト」という曲では場内が暗くなり、アナウンスが流れ、飛行機のライト が浮かび上がり、そこにストリングスの音が流れる。とかいろいろ細部に素敵なアイデアが詰まっていた。後にいろいろ自分で企画したものの原点はここにある。
PAは「音響ならSスタッフのMさん」と言われていたMさんにお願いした。
くまみたいな感じのあったかいおじさんで、僕はいつも優しく接してもらっていた。

摩天楼をイメージした舞台セットを作ろうということになって、MPの方たちがスタッフとして協力してくれ会長の家でミーティングや舞台セットの絵を描いてくれた。
前にも書いたが、MPはアマチュアミュージシャンを応援というかサポートしてくれる団体で、有名アナウンサーも所属していて主催者としてコンサートも企画していた。小さなハコからコンサートホールまで幅広く。
僕達とはMPの活動のひとつにある障害者の方々の施設訪問がきっかけで知り合った。

作ってもらった、その舞台セットがこちら↓


コンサート1週間前には合宿もしていた。食事はホント楽しそう!


ほんとうにいろいろな方の温かな協力のもと、コンサートを開く事ができ、コンサートは無事終了した。
僕達は満足感でいっぱいだった。お客さんも満杯。評判も良かった。
「Iろは」で泊まりの打ち上げもした。


一晩、飲み明かし、迎えた朝。 陽がさしている大通りを見ると、妙に意識が冷めてしまい逆に疲れがどっと身体にかぶさってきた。

 
「じゃあ、また演ろうな。」みんなと別れ、一人でトボトボと夜明けの街を歩いていた。昨夜、何度も話したステージの話しや、合宿の話をぼんやりと思い出しながら・・・
 僕の後姿が淋しそうに見えたのか、気がつくといつのまにかメンバーが横に並んでいた。みんなもっと一緒にいたかったのかもしれない。
とにかく僕達はしばらく歩いた。何を話したのかは覚えていない。 ただ、その時の気分は忘れない・・・いい気分だった。  それ以来、僕はずっと音楽をやめられないでいる。