見出し画像

「憧れたバンド」~ライスボール~

前に「遠い記憶」の中で憧れたバンド「MAHOY」の事を書いたが、今回は「ライスボール」のことを少し。


何年か前に悲しい知らせが届いた。
お世話になったドラマーのYしみさんが亡くなってしまった...
その時、書いたものをNoteに保存しておこうと思います。


Yしみさんは後年PAの仕事をしていた。あの「チャー」にとても信頼されている売れっ子のPA屋さんというのは風の噂で聞いていた。。
僕は「ライスボール」というバンドのドラマーのYしみさんしか知らない。クラプトンやドゥ-ビーB、オリジナルのロックもすごくかっこよかった。
本物のロックという感じ、日本人離れした風貌もかっこよかった。
ソナーのドラムは当時100万くらいしたんじゃないかな?
どっしりとした深い味わいのあるドラムで、しかも歌もうまかった。

去年の暮れ、師匠のW田さんのラジオ番組に出て、その後の打ち上げの時、電話をくれた。すごくひさしぶりで懐かしく、また嬉しかった。
「仕事で東京に行った時、帰りに寄るから一杯やろう」と言ってくれたの
に...

Yしみさんのバンドはライブハウスで演奏していると「おおーRakudaが来てるじゃないか!上がって来い、一緒に演奏しよう」とそこでセッションをしてくれたりした。
一緒に広島~名古屋~豊橋~東京とツアーのものまねもした。Yしみさんの人脈があるからこそできたツアーだった。

でも一番想い出にというより強烈だったのは岩国の米軍基地でのライブに連れて行ってもらったことだ。
まぁ脅されたし、驚かされた。
この基地は海軍のなかでも上陸一番乗りの兵士が多いから気性が荒い。
もし気に入らない演奏とかしたら「撃たれるぞ」なんて...

初めは冗談だと思っていたが、基地に近づくにつれて、だんだん「ここ日本?」という雰囲気、街並み、匂いになってくるとなんかほんとに「もしかしたら?」という想いがよぎってきた。

HPにもこう記載されている。
「岩国市の市街化区域の1/4を占める基地の敷地内は、すべて治外法権で、フェンスの向こうは日本でありながら、事実上アメリカ合衆国です。もちろん関係者以外は立ち入りできません。

近年はテロや戦争に備えてか、入口の警備も大変厳重で、頑丈そうなバリケードが設備されています。最近、在日米軍再編問題も絡んでか、特にナーバスになっており、フェンスの外からでも基地にカメラを向けると、基地の警察隊に職務質問されることもあり、一般の観光とはまったく様子が異なりますのでご注意ください。」

ご注意くださいって...
バーとか派手な刺繍入りのジャンバーがズラーと並んだ店もなんか怪しげだ。ものものしく感じるフェンス...

そしていよいよ治外法権に足を踏み込んだ。
日本人離れした顔のYしみさんは英語でゲートの当番の人とひとこと、ふたことやり取りし演奏するホールに向かった。
途中見た外人さんの腰にはピストルがあったような...

LIVE会場はとても立派な建物だった。よくアメリカ映画で見るようなステージの前に踊れる広~~いスペースがあって、隅っこにバーカウンターがある。
薄暗い明かりの中、ミラーボールが輝いている。
この時はイス、テーブルはなくオールスタンディング。
その為か、よく覚えていないがノリノリのアメリカンロックを中心に演奏したと思う。
なんで僕を連れてってくれたのか、いまだにわからない。
リハもなかった。
「Rakuda、ドラム持って○時に○○に来い」と言われて、行ってみると僕のドラムをYしみさんの車に積みなおし「今から岩国で演るから。わからない曲は1番聞いて2番から入って来い。いいかぁぶったたけよ!」と言う。
「えっ~~~~!!!!!」である。

演奏は勿論、足を引っ張ったと思う。バンドだってヘタしたら「もう来なくていい」と言われる可能性もある。
ギャラだって発生してたから仕事もへってしまうだろう。
なのに何故連れて行ってくれたんだろう???
ただ僕はこの異空間の中、憧れていた雰囲気の中で思いっきり叩いて、兵士さんたちも笑顔で踊ってくれて、リクエストをくれたり、もう最高の気分だった。
終わった後、Yしみさんの家では僕は放心状態でよく覚えていない。
Yしみさんが壁によりかかりタバコを吸っている姿しか想い出せない。
あの頃の事を電話でなく一杯やりながら話したかったな...

慎んでご冥福をお祈りします。
Yしみさん、いろいろと本当にありがとうございました。 合掌。
「ライスボール」の演奏をドラム友達がYou Tubeにあげてくれていたので、よかったら見て下さい