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仏像さんと仲良しになろう 明王編

通訳ガイドのぶんちょうです。仏像の明王みょうおうグループの面々は、相当おっかない顔をしています。武器まで持ってるので怒らせたら大変です。

「怒髪天を衝く」の表現通り、怒りで髪が逆立っています。武器は弓矢、悪を断ち切る宝剣、煩悩を縛りあげたり、苦しむ人々を救い上げる縄、災いを突き砕く矛。さらに背中まで怒りでメラメラしています。後背という後ろの部分が、火焔の如く表現されています。

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それにしても、どうしてこんなにお怒りなんでしょうか。それは、優しい顔で諭しても言うことを聞こうとしないような筋金入りのワルを救うためなんです。

明王グループの人気者はお不動さまで知られる不動明王です。こわーい顔ですが、苦しむ人間をなんとか救ってやりたいという優しい気持ちからの怒りの表情なのです。

不動明王さんは空海のもたらした密教の仏様です。明王はもともとヒンズー教の神様なのですが、それが仏教に取り入れられものです。この不動明王さん、実は密教の中心、大日如来の化身だそうです。

つまり、あの穏やかな如来さんが、「言うこと聞いていい子にしようね」くらいに声をかけても、知らん顔の輩がいるわけです。そこで「おらー、言うことききやがれー」とド迫力の姿に変身して、脅しているのが不動明王なのです。

相手が憤怒の顔に変身する前にさっさと言うことを聞いて、おりこうにしておくのが賢そうです。人間の世界でも。

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