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本は一度しか読まない

一冊の本を何度も読み返す人?

私は同じ本を何度も読み返さない、読み切り派。エッセイや小説は特にそう。読み終わった後しばらく本棚に積んでいて、整理の度にBOOKOFFなどに持っていく。だからたまに同じ本を買ってきて「どっかで聞いた事のある話やなぁ」と思いながら読み進み、どこかの時点で「これ前にも読んだやつやんか」と気が付く。

それでも手元にながらく置いている本がある。今日そんな本の中からなにげなく読みたくなって手に取った本。

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有元葉子さんの「毎日すること。ときどきすること。」

私が彼女に興味を持ったのは、雑誌か何かでキッチンに立つ彼女の写真を見たのが最初だったと思う。最初に目を引いたのは、その素晴らしいキッチン、その次に、この素晴らしいキッチンの主である有元葉子さんってどんな人ってこと。

私が人に興味を持つきっかけは、大概こんな感じ。それは、ファッションだったり、持ち物だったり、暮らし方だったり、読んでいる本の傾向だったり。でも、一番気になるのは、その人の住まい、かな。

有元さんは料理家として有名な方だけれど、私は料理そのものよりも彼女の暮らし方、仕事の仕方、生活術に興味があって、その方面の本ばかりを読ませていただいたし、そのうちの数冊は私の手元に大事に保管されている。

「毎日すること。ときどきすること。」数年前に買って一度読んでいる本。最初に読んだ時も「こんな暮らし方素敵だな」と思ったはず。なのに、今日読んでみたら、前回は目で追っていただけの文章が、心に染み渡るのを感じる。

この本の「はじめに」に書かれている文章、

毎日の小さなことの積み重ねで、1年後、5年後、10年後、20年後の自分ができていく。今日食べているものが、今日考えていることが、今日やったことが、確実に未来の自分につながっているんですよね。
5年後にこうなっていたい、なんていう人生設計を私は立てたこともないし、信じていません。それよりも、家の片づけ、ぬか漬け、語学、台所道具作りなどの仕事・・・。最初はうまくいかなくても、「そのうちなんとかなるでしょ」という気持ちで諦めずに続けてきたことは沢山あって、そういう毎日の ”こつこつ” で、今ようやく「なんとかなっている」というかんじでしょうか。
決してラクではないけれど、私が元気で、面白そうに生きているように見えるとしたら、そういう生き方、暮らし方を続けているせいなのです。

私はコツコツが本当に苦手。毎日ちょっとづつやった方がいいと分かっていても出来ないことが多い。マイブームの最中は一生懸命やるけど、ブームが去ってしまうと、ぱったり手をつけないようになる。

突然何かが始まって、しばらくはコツコツ続ける。そしてブームが去ると、次の突然始まる何かが見つからない期間は「自分が何がしたいのかわかりません」とか言いながらウロウロしてしまう。

こんなパターンを繰り返しているような私の人生。

その対極にあるような暮らしを営んでいるのが、有元葉子さん、そんな気がする。

私がグダグダ言い訳めいた文章を書くよりも、この本の「おわりに」に書かれている文章を紹介したい。

「やめたこと」と「やらないこと」
私が何かをやめるのは納得できないときです。それを続けることで気持ちよくいられなかったり、受け入れられない何かがあるときはやめどきで、「やめる」という選択肢も時には必要です。
「先の心配をすること」と「人の評価を気にすること」は私はしないです。先のことは、考えても思ったようにならない。他人がどう思うかで、自分の生き方を変えることはできない。
すべてのものは常に動いている。この世の中には「変わらない」ものはなくて、同じ空間にいても、1秒後、1分後には違う空間であり、違う自分です。何かの目標を揚げて5年後に到達したとしても、5年後の自分がそこに喜びを感じるかどうかわかりません。先を見ることなんて誰にも本当は不可能で、「今やれることを充分にやる」しかないと思うのです。
自分の「今」を精一杯に。ありきたりなようですが、本当にそれしかないと思う。精一杯やっている「今」こそが、10年後の私たちになって現れるのだと思います。

気持ちの良い暮らしって、こうやって積み重ねていくことで気が付いたら手にしているものなのかもしれない。

私の人生後半戦、こういう暮らしを手に入れたいと考えています。


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