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手紙とコロナとレトルトカレーの話。③

【#手紙とコロナとレトルトカレーの話。】                     ③誰かを応援することを勉強した日の話

突然ですが、僕はラップが好きで(意外って言われる)、これまで音楽はもっぱらヒップホップばっかり聴いていました。
しんどい時にラッパーがよく歌っている「昔はどうしようもない境遇だったけどラップ頑張ってここまできたぜ」的な歌詞を聴くとなんだか元気が出るからです。
逆に流行っている歌とかはあんまり知らなくて、カラオケはあんまり得意ではありません(カラオケでマイナーなラップを歌うとすごい空気になるから)。

が。

以前もこのnoteで書いたのですが、
ここ半年くらい、ラージクマールではお店として
「Kolokolさん」(「ころこる」と読みます)というアイドルグループと、「そのファンの方々」を応援することをはじめています。

はじまりは「Kolokol」のメンバーの1人である「佳凪きのさん」(「よしなきのさん」と読みます)というアイドルさんがたまたまうちのお店に食べに来てくれて、その年の暮れにnoteで「おすすめごはん屋さん」のひとつに挙げてくれたこと。
それからファンの方々がたくさんうちのお店にも来てくれるようになりました(このへんの経緯は以前noteに詳しく書きました)。

今年の初めごろは緊急事態宣言も出て人流がガクンと減り、前回書いた「時短協力金」の対象にもカスリもしなくて大ピンチだったうちのお店に取って、たくさんの「Kolokol」ファンの方々が食べに来てくれることは本当にありがたいことでした。
何か感謝を伝えられないかなと思って、事務所の方と連絡を取り、「ファンです」と申告してくれたらドリンクサービスをすることにしました。


僕はこれまでアイドルというものに全く触れて来なかった人生だったので、アイドルのファンの人達がどういう方々なのかそれまであまり知りませんでしたが、大きく二つ感動したことがありました。

まず一つ目が、

「好きな人が”好き”と言っていたお店食べに行く」

という行為。
冒頭にも書きましたが、僕はほぼほぼ毎日仕込み時にヒップホップを聴いていますが、よく聴くラッパーの行ったお店はおろか、好きな食べ物さえよく知りません。
当然今まで行ったことも行こうと思ったありませんでした。

「好きな人の行ったところにわざわざ行ったり、好きな人の好きなものを体験する」って、本当にその人のことが好きだったり、心から応援していないとできないことなんじゃないかと思います。


次に感動したのが、「Kolokolのことを応援している人達同士の仲が良い」ということ。
遠い土地でやるライブにみんなで遠征したり、
遠征先のファンの誰かの家やホテルにみんなで泊まったり、
関西でライブがあるときは皆さんでうちのお店に集合してカレーを食べながらワイワイされてたりします。
僕もスタッフもこれだけ「好きな人のことを全力で応援している人達の集まり」というものを目撃することがこれまであまりなくて、なんだかほのぼのさせてもらっていました。


「Kolokol」さんのことももちろん応援したいけど、「Kolokolファン」の人たちのことを応援したくなりました。
応援するにはまず「応援したい人たちの好きなもの」を知らねばと思って、朝、仕込み時に聞いていた音楽のプレイリストをごっそり変えてみました。
かくして、ガチガチのラップとファンタジー色の強い「Kolokol」さんの曲が交互にかかる珍妙なプレイリストが出来上がりました。


毎回しつこく書いてますが、僕はずっと
「コロナがあったからできなかったこと」
「コロナがあったからこそ生まれたもの」
を探しています。

コロナ禍になってから、不倫した芸能人や、失言した有名人みたいな、
「失敗した人を二度と立ち上がれないくらい徹底的にみんなで叩く」という風潮が以前より強くなった気がします。
「周りがみんな叩いてるし、この人は叩いて大丈夫だな」と思った時の容赦の無さ加減は見ていられないくらい過激で、
それぞれに理由はあるでしょうが、そんな風潮を見ることもそれに参加することもなんだか心がどんどん荒んでいきそうだなあと思っていました。

そんな中で、僕は「挑戦している誰かを全力で応援する」ということを間近で見せてもらう経験をしました。
「何かを糾弾している」ために使っている時間の何割かを、「誰かを応援する」「誰かのために何かする」時間に変えることができるものを作れたら、それは「コロナがあったからこそ生まれたもの」と言えるのではないかと考えました。
まだまだ全く具体的ではないけど、そういうものを作ることにしました。
ようやく作りたいものの輪郭が見えてきました。
今年の夏くらいの話です。


次回、④「挑戦と勇気と命がけの仕事を知った夜の話」に続く。

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