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やっぱりOliver Schaudt! 2本目(2)

さて、昨日からの続きです。

さて、昨日の記事で話題に出した「15パズル」ですけど、これをちょっと深掘りします。
15パズルには、絶対に解けない状態があります。でも、それは15パズルだけに限ったことではなく、Semiramisを含むスライドパズルは全部、そうなる恐れがあります。

数学理論的には「奇(数)のパリティ状態」なんて呼ばれています。
いわゆる「1~13まではちゃんと並んでいるけど」「14と15だけが入れ替わってる」という状態のことを「奇のパリティ」と呼びます。
このような状態の時は、絶対に解くことができません。

別に14と15だけに限りません。例えば3と4だけが入れ替わっっていても同じく奇パリティの状態です。

上のリンクは2023に執筆された、その件についての 解説です。

でも、そもそも最初にこの話題を日本国内に紹介した人は、日本パズル界の巨星である故NOB先生(芦ヶ原伸之さん)です。

そういうわけで、世界的なパズルの巨人、サム・ロイド氏が、絶対に解けない15パズルの状態を世界に「提示(公示?)」したわけですが、この「絶対に解けない」という奇パリティを逆手にとって、さらに新作パズルを作った人がいます。

もちろん、そんなことをやってのけた偉人さんは、NOB先生です。

「匹見パズル」より画像を引用

スライドパズルでは、隣り合う2枚を入れ替えるのは絶対に不可能だということが判明しています。
すなわち上の図で言えば、「ヘリコプター」と、その左隣にある「縦の線」とを入れ替えるのは「絶対に不可能」なはずなんです。

こうした数学的に厳格な公理を、サム・ロイドが全世界的に証明して見せたにも関わらず、それにも関わらず、このヘリポートパズルは解けます。

その答えは、すぐにお教えするのはもったいないので、まだお教えしません。読者の皆様も少し苦しんでみてください。(明日公開予定?)

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さて、このようにNOB先生が「スライドパズル」の新たなるアイデアを創作したわけですが、そのアイデア(原理)をSemiramisは利用しています。
NOB先生のおかげで不可能が可能になり、そしてSemiramisの誕生につながっているのです。

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ちょっとだけ横道にそれます。

今回話題にしているSemiramisパズルには、この製品の発売よりも約20年前に、「味わい:テイスト」が似ている別のパズルがBinaryarts社から出ていました。
Chameleon(カメレオン)という名前のパズル商品でした。

この商品は2024円現時点でネット検索してみると、全くHitしなくなっています。人類の歴史上、存在しなかった扱いになっています。扱いがひどいなあ。

しかし、Thinkfun社から「トラベル用携帯パズル:Chameleon Crossing」としてリバイバル販売されることになりました。
パズルの世界では、こういうことはとても珍しいです。
通常ですと、もしもリバイバル販売されるとしても、ほとんどの場合は「テーマ」が変わります。
テーマが変わらずカメレオンのまま再販売っていうのはすごく珍しいことなのです。

Thinkfun社ホームページより引用
(中央部は曲がれない。中央では、ただまっすぐ反対側に進むだけ。)

上の説明図(第一問)を使ってざっと解説しますと、5種類の色の異なるカメレオンのコマが、適当にばらばらな位置に置かれています。
カメレオンの体の色と、バズルボードに描かれた「岩の色」とが一致するようにしなさい。例えば、赤は左下に移動、水色はすぐ1コ上に移動すれば良いのです。
ただし、カメレオンは、パズルボードに描かれた「線」の上しか歩くことができません。というルールです。
ということなので、簡単に言えば15パズルの仲間のスライドパズルです。
ぜひ、上に示した第一問だけでも、解いてみてください。

「線」の位置と「線」の本数が、各々の問題ごとによく考え抜かれていますので、15パズルと比べたらずっと難しいスライドパズルに仕上がっています。昔に販売していた頃は、たしか全30問くらいあった気がします。2024年のリバイバル版では40問あるとのことです。

横道の話が長すぎました。明日はSemiramisのお話に戻ります。

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。