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チーズバーガーの偉大さ

日本ではじめてマクドナルドが出店したのが1971年ということだから、僕たちの世代はファーストジェネレーションマクドナルドキッズかと思う。最近吉野家の幹部が「若い頃からわが社の製品の味に慣れ親しんでもらいたい」という主旨を、全く違ったウィットで表現して問題になったが、僕らの世代は小学生の頃からマックの味に慣れ親しんだ世代と言えよう。
僕のアメリカ人の友人が、マックの偉大さを「世界中どこに行っても、全く同じ味の食べ物が食べられるその安心感は絶大である。イタリアであろうが、ケニアであろうが、どこでもマックさえ見つければまともなものが食える」と言っていた。アブダビ駐在時代には、日本から赴任してきた駐在員が現地の食べ物に慣れず、何か月もマックを食べ続けたという話も聞いた。かのデイビッド・リンチ(アメリカ人映画監督)もロンドンに移り住んだ後、「一番近いマックから何千マイルも離れているのは耐えられない(その当時はイギリスにはマックはなかった)」と言って数か月で帰国したらしい。
そんな偉大なマックの中でも、チーズバーガーはある意味ハンバーガーの完成形だと思う。
昨今グルメバーガーと称し、これでもかとトッピングを詰め込んだバーガーが目立つ。野菜やら、アボカドやら、チリやら。。。竹串で刺さなければ崩れてしまう、紙に包んで食べなければ手はソースだらけ。挙句の果てにはフォークとナイフがなければ食べられない。それならもう既にバーガーではないのではないか?
パティがあり、最小限のトッピング(ピクルスだけでも十分)とケチャップとマスタード。それがちょうどいいバンズに挟まれている。かじりつくにもちょうどいい厚みで、手に持っても持て余さない。ソースや中身がはみ出す心配もなく安心してかぶりつける。味はシンプルに肉とケチャップとマスタードの味だけ。たまにピクルスのアクセント。ハンバーガーに求めるものはこれ以上にあるだろうか?
健康志向やら、色々な理由でマックを敬遠する気持ちはわからないでもない。娘の通う小学校にも近所の歯医者さんが来て「マックシェーク飲んだら歯がなくなるよ」と脅したので、小学生の娘は一生マックシェークを飲まないと言う。それでは毎年夏の「今年のシェークの味は何かな?」とワクワクしたあの気持ちは、僕の娘は一生味わうことはないということだ。
さすがに全て塩辛いなと思うこともないではないが、圧倒的な味で世界中に受け入れられていったマクドナルドのハンバーガーには、人類を虜にする何か魔法の力があると思う。