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キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーを読んだ

前置き

 私がキャプテン・アメリカが好きなことは前回の記事でも書いた。その理由の一つとして、気高すぎる精神性を上げた。この鋼の精神は時として彼本人を苦しめ、それでも、険しい道のりを選択させるのだが、そんな彼も人間である。時には個人的な感傷に揺れてしまうことがある。
 その一つが、バッキー・バーンズ、第二次世界大戦時の彼の相棒であり、そしてヒドラの先兵、伝説の殺し屋ウィンター・ソルジャーその人である。第二次世界大戦時に死亡した彼は、比較的死んだキャラを蘇らせることの多いアメコミ界でも、決して蘇ることのない、特別なキャラだったのだが、満を辞して蘇ったのは宿敵だったという衝撃の展開だ。
 キャップの物語においても、重要な立場になるので、MCUでもキャップの2作目の映画の原作とも言えるエピソードだ。今回もマーベル グラフィックノベル・コレクションから。収録されているのはキャプテン・アメリカ(Vol.5)の#8−9と#11−14である。読んだ感じ、わりかし最低限のエピソードだけを収録しているっぽい。

ウィンター・ソルジャー

 今回のメインヴィランであり、かつキャプテン・アメリカの元サイドキックのバッキーその人である。キャップにとっては古傷とも言える存在であり、彼に対してはいつも冷静な彼も感情的になってしまう。
 MCUでは同世代の親友で元々貧相な体つきだったスティーブとは違って高身長のイケメンであったが、オリジンの彼はキャップよりも年下で如何にも少年と言ったいで立ちで、初対面の彼も「子供じゃないか」と難を示すほど。
 だが、そんな彼が最終的にキャップ最大の理解者になるのだからわからないものだ。しかも、戦火の中で命を落とし、彼の犠牲が現代に至るまで深い影を落としている。オリジンの設定こそ、MCUとは違うものの、ウィンター・ソルジャー自体の設定はほぼMCUと一緒であり、彼の人気の高さがわかる。今回のエピソードでは自身を洗脳させたコズミックキューブ(MCUとは別物)を腕力で(?!)破壊したことで行方不明になって終わるので、彼がキャップと共に戦えるのも先になりそうだ。そこまでこのシリーズが収録してくれるかはわかんないけど……いつか、翻訳本さがないといけないかな。

キャプテン・アメリカ

 主役であり、今回、最も苦悩する立場。バーンズだけは彼にとっても特別な存在であるが故に、心配する周囲の言葉も聞かずに独断専行をします……いや、MCUでも割といつものことか?
 今回は親友を救い出すために体を張ります。アイアンマンことトニー・スタークも一部協力しますが、彼は彼で問題が起こっているので、途中で離脱します。ここら辺、様々なエピソードを並行で展開するアメコミらしいですが、日本の翻訳本ではそこまでフォローしてくれないので、読者は大変です。グラフィティノベルコレクションも最低限のエピソードしか収録されてないので、あとは読者で頑張るしかありません、にわかはつらいよ。
 今回の彼は少し独善的でもあり、暗殺者として活動したことをバッキーは苦にして死を望むだろう、と周囲は予想し、実際に彼本人も自分を殺さなかったことを非難しますが、それでもキャップは彼をコズミックキューブを使ってまで助け出します。
 もちろん、敵対者であろうと命までは奪わない、というのは彼の信念でもありますし、行動原理とし間違っているわけではないですが、それでもやはり、キャップの捨てきれない、センチメンタルなウェットな感情が見られたのが良かった。

終わりに

 前回に引き続いてキャップのエピソード。実は次回もキャップです(集中砲火。
 MCUでも取り分け好きなエピソードだったので、アメコミで読みたかったエピソードの一つ。信念の男であるキャップが私情に揺れてしまうのがいいのよね。

好きなセリフ

「たまに思うんだけどさ、もし僕がいなかったら、世界で一体誰が君のことを理解するんだろうね……」
 休日に一緒に映画を見に来たのに戦場で今もなお犠牲になってい兵士がいることを気にするキャップに息抜きの重要性を解きつつも、理解を示した言葉。これをキャップが否定しないことが2人の強い信頼感を表しているのだが、この後のバッキーのことを思うと……Fateシリーズのギルガメッシュとエルキドゥみたいな、こういう関係に弱い。

「私のことを覚えていないのであれば、撃て」
 自分に銃口を向けるウィンター・ソルジャーに向けて。キャップのバッキーに向ける絶対的な信頼がよく現れている。

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